2016 Fiscal Year Research-status Report
「描く人(ホモ・ピクトル)」の倫理と冒険:イメージ批判に基づく人間学的美学の構想
Project/Area Number |
15K02109
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
三木 順子 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 准教授 (00283705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿木 伸之 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (60347614)
原 千史 福山大学, 人間文化学部, 教授 (70248293)
高安 啓介 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (70346659)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 形象 / イメージ / 構想力 / 人間学的美学 / 批判美学 / 倫理学的美学 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.研究会:西欧の哲学的美学において、「イメージ」という概念の内包と外延、およびイメージについての批判的考察の方向性は、独・仏・英の言語圏ごとにそれぞれ異なる特徴を持つ。本年度は、特にドイツ語圏とフランス語圏の20世紀のイメージ論の動向に焦点を絞り、それらがどのように相違しまたどのように共通しているのかを、研究代表者および分担者の各自で検証した。そのうえで、メルロ=ポンティ、レヴィナス、デュフレンヌという、フランスの20世紀を代表する思想を専門として研究している3名の研究者を招聘して研究会を開催し(3月14日・15日)、この時期のフランスのイメージ論が「前-イメージ」的なるものへと遡及しようとする傾向を示していたことを確認するとともに、そうした傾向が持つ意義を討議した。
2.海外での発表・調査:7月に韓国・ソウルで開催された国際美学会で、三木と高安が本科研での研究の成果を発表した。また、原は9月に、ドイツの批判理論をリードするシュヴェッペンホイザー氏とヴュルツブルクにて面談し、インタビューを実施した。
3.雑誌の刊行:昨年度創刊した雑誌『形象』の2号を、3月10日刊行した。中世美学を専門とするゲスト執筆者から寄稿された論文に加え、研究代表者の三木が素描を、柿木が歴史を、高安がタイポグラフィーを、原が批判をテーマとして、論文・海外研究者へのインタビュー・書評・展覧会などの各形式で寄稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的どおり、研究会の開催、テーマに即したゲスト・スピーカーの研究会への招聘、雑誌の刊行、海外の学会での研究成果報告、海外調査を実施することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画のとおり、研究会を開催し研究報告および質疑討論をおこなうことと、年度末に雑誌『形象』を刊行することを主たる目的として研究を推進する。
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Causes of Carryover |
研究代表者および研究分担者のうちの1名が平成28年度に行った海外学会での研究成果発表は、開催地が韓国であり、当初見込んでいたヨーロッパ圏での成果報告よりも旅費が安価であった。また、28年度にヨーロッパ圏で資料調査を行う予定であった研究分担者は、当該年度、在外研究でヨーロッパ圏に居住していたため、旅費を本科研から支出する必要がなくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究代表者および当該研究分担者2名は、平成29年度に海外渡航し、資料収集・調査を行う。
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