2016 Fiscal Year Research-status Report
1960~70年代に見られる芸術表現の研究拠点形成と資料アーカイブの構築
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15K02129
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Research Institution | Institute of Advanced Media Arts and Sciences |
Principal Investigator |
伊村 靖子 情報科学芸術大学院大学, メディア表現研究科, 講師 (60647931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 勝雄 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館, その他部局等, 研究員 (30321558)
松井 茂 情報科学芸術大学院大学, メディア表現研究科, 准教授 (80537077)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 1960~70年代 / 現代美術 / 概念芸術 / アーカイブ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、前年度の調査を発展させるために、アーカイブズ学研究の観点から専門家の助言を得ながら研究を進めることとした。8月26日に、研究分担者の鈴木勝雄とともに立教大学共生社会研究センターのアーキビスト、平野泉氏を訪ね、同センターにおけるミニコミの整理・管理方法と、社会運動資料管理の基礎的な考え方について、さらには社会運動系のミニコミと、60~70年代の芸術運動の接点について意見交換をした。 特に、本科研で対象とする60~70年代の芸術表現の枠組がミニコミや書簡を含む多様な媒体に支えられていたことを考えると、これらが交わされた当初に築かれていた関係性をどのように扱えるのかが論点となった。資料編成のプロセスを開示することは、収集アーカイブズにおいて特権的価値を付与される資料に対して情報開示につながる可能性があるという。美術史的観点からは、資料の編成に収集の経緯が反映されることから、印刷物の通信のありようが表現上意味をもつ稲資料の特質に焦点をあてることができる。 12月19日に鈴木勝雄とともに稲憲一郎氏のオーラル・ヒストリーを実施した上で、2月17日には、上記の論点を深めるために国立新美術館にて研究会を開催した。鈴木勝雄、松井茂(研究分担者)、平野泉(立教大学共生社会研究センター アーキビスト)、齋藤歩(京都大学総合博物館研究資源アーカイブ特定助教)が発表し、オブザーバーとして、谷口英理(国立新美術館美術資料室長)、馬定延(多摩美術大学 JSPS 外国人特別研究員)、藤本貴子(国立近現代建築資料館研究補佐員)、宮田有香(国立国際美術館研究補佐員)、粟田大輔(美術批評)、坂口英伸(国立新美術館アソシエイトフェロー)の各氏から、実践や各研究分野に基づいたコメントをいただいた。あわせて、稲憲一郎氏旧蔵「精神生理学研究所」関連資料の仮目録の編成についても意見を求めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、他分野の研究者との研究連携を強化するため、意見交換を重ね、基礎研究および研究会の実施に向けたコミュニケーションにできる限り時間を割いた。異動により東京から岐阜へと拠点が変わったため研究の進捗が危惧されたが、国立新美術館の協力を得て各研究者と緊密に連絡を取り合いながら、効率よく研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究会に基づき、次年度はシンポジウムの開催を予定している。また、国立新美術館、情報科学芸術大学院大学の紀要において、論文および稲憲一郎氏へのインタビューの掲載を予定している。これらの機会を通じて、研究成果を広く公開することを目指している。
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Causes of Carryover |
異動に伴い、海外出張を見送ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に、シンポジウムの開催および資料のデータベース化へ向けたシステム整備に関わる経費、旅費として使用する予定である。
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Research Products
(10 results)