2017 Fiscal Year Annual Research Report
Rethinking about Surfaces on Modern sculpture
Project/Area Number |
15K02136
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
金井 直 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (10456494)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 新古典主義彫刻 / 彫刻の表面性 |
Outline of Annual Research Achievements |
【カノーヴァ関連作品および文献調査】前年度に引き続き、カノーヴァの追随者等の作品調査を実施。様式・技法的細部について分析を進めるとともに、チーニ財団を拠点とし、関連文献を収集分析。とくにジュゼッペ・デ・ファブリスとアダモ・タドリーニの特質に着目し、影響や関係の記述を進めた。一方、前年度確認した作品表面への意識・関心の減退、すなわち脱カノーヴァ傾向の原因として、美術館・写真の登場に加え、アカデミー教育による技術の合理化、プリズムの台頭、モニュメント熱、王政復古期の保守主義(裸体の検閲)を確認した。これら4点は、これまで明確に指摘されることはなかったが、近代彫刻史を論じる上での重要な前提条件を構成するものである。 【その他の作品および文献調査】アルトゥーロ・マルティーニ作品の、とくに素材・質感に関する実地調査を実施。あわせて同作家の著述分析をすすめ、制作実践と論理の関係を検討した。また、ドクメンタ、ミュンスター彫刻プロジェクト、ヴェネツィア・ビエンナーレ等を調査。現代彫刻・インスタレーションの構造と、G・ブルーノの論じる「表面」との接点について検討を試みた。日本においては展覧会「小沢剛 不完全-パラレルな美術史」(千葉市美術館)に協力しつつ、18世紀以来の石膏像受容における表面の捨象について調査分析をおこなった。 【成果公開】上記小沢剛展シンポジウム(2018年2月4日)に参加。同展図録(2018年2月)に「「不完全」に添う」を寄稿。また、「第57回ヴェネツィア・ビエンナーレ(ジャルディーニ他、ヴェネツィア、2017年5月13日-11月26日)」(展評)(『ディアファネース』vol.4、2018年3月)を執筆した。本年度後期からヴェネツィア大学客員研究員として調査研究を集中的に進める都合上、成果公開に現状、遅れが生じているが、蓄積を活かし、平成30年度に鋭意進めていきたい。
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Research Products
(2 results)