2017 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Samuel Scheidt's polychoral work "Cantiones Sacrae"
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15K02195
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Research Institution | Tokyo Junshin University |
Principal Investigator |
鏑木 陽子 東京純心大学, 看護学部, 教授 (10638357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大角 欣矢 東京藝術大学, 音楽学部, 教授 (90233113)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 初期バロック / ルター派の音楽 / 礼拝音楽 / ザムエル・シャイト / 二重合唱 / 対位法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年9月、スロヴァキア共和国のレヴォチャ福音教会資料室において、声楽作品から鍵盤楽器用に編曲された作品の手写本4冊の調査を行なった。この手写本は新ドイツ式タブラチュアで記されており、『カンツィオネス・サクレ』所収曲が含まれている。この調査では20曲を同定し、シャイトの声楽作品の伝承に関する手掛かりが得られた。また国際ハインリヒ・シュッツ協会主催シュッツ・フェストでは研究代表者が複合唱曲のワークショップに参加し、シャイトと親交があったシュッツの作品を歌う体験を通して、このジャンルへの理解を深めた。 本研究では『カンツィオネス・サクレ』から12曲を選び、校訂譜を作成した。ハンブルク大学図書館において初版譜を精査し、1933年出版のシャイト全集と照らし合わせながら校訂作業を進めた。特に大規模な作品《キリストよ、汝、日にして光なるお方》SSWV19 と《天にまします我らの父よ》SSWV32を重点的に取り上げ、詳細な作品分析を行なった。さらに演奏実践を担当した研究協力者から実際に音を出してみての疑問点、要修正点を挙げてもらい、校訂譜の完成度を高めた。このように演奏者との検討を重ねながら校訂譜作成ができたことに本研究の大きな意義があったと言える。この校訂譜を用いた研究成果発表を平成30年3月に日本オルガン研究会3月例会において行なった。その内容は、研究代表者による楽曲分析及び解説、声楽作品と関連が深いと思われるオルガン作品の演奏、研究分担者による歌詞対訳、研究協力者サリクス・カンマーコアによる演奏実践である。作品分析と実演の両方を通して、シャイトの優れた対位法技法が明らかとなった。校訂譜と録音は順次Web公開すべく準備を進めている。日本国内では演奏機会が極めて少ないシャイトの複合唱作品を紹介し、作曲家の再評価につなげる研究は平成30年度から研究課題18K00242において継続する。
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Research Products
(2 results)