2017 Fiscal Year Annual Research Report
21st Century American Fiction as Translated Literature
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15K02367
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
藤井 光 同志社大学, 文学部, 准教授 (20546668)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 現代アメリカ文学 / 英語圏小説 / 移民文学 / 翻訳研究 / 寓話性 / グローバル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現代のアメリカ小説の大きな特徴が「翻訳」への接近であるという仮説を考察することを試みたものである。アメリカ出身の作家たちにおける、アメリカという主題および土着性からの離反と寓話的な物語創作、移民作家たちにおける複数言語間での権力関係などをあわせて論じることにより、それらが戸別の現象ではなく、グローバル化に対する作家たちからの応答であることを論証した。 その過程において、現代文学論としての単著『ターミナルから荒れ地へ』を発表する機会を得た。現代アメリカ小説の動向を報告するとともに、それがグローバル化の時代のなかで他地域の英語での創作とも共振するものであることを論じたものである。また、アメリカ小説の動向をより広く一般社会に認知してもらう機会として、放送大学の番組『世界文学への招待』でアメリカ文学を「戦争」と「移民文学」の二つの観点から紹介している。 また、個別の作家・作品について、小説テクストの分析を行った論文を発表した。英語論文(ダニエル・アラルコンとミロスラフ・ペンコフにおける「ロード」概念の変形を論じたもの)、日本語論文(ダニエル・アラルコンとアレクサンダル・ヘモンにおける「翻訳」概念を論じたもの)を発表した。 土地の交換可能性という主題が、アメリカ生まれの作家と移民作家に共通して見られることについては、概念的な見取り図を日本語論文として発表した。 その他、文芸翻訳に関する各国語の翻訳者たちのエッセイを収録した『文芸翻訳入門』の編集を務めた。日本におけるアメリカ文学の翻訳受容について、『アメリカ文化事典』に寄稿したほか、現代の移民・難民作家たちの作品を日本語に翻訳(イラク出身の作家ハサン・ブラーシムなど)して紹介する機会を得ている。
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[Book] 死体展覧会2017
Author(s)
藤井光(翻訳)
Total Pages
198頁
Publisher
白水社
ISBN
978-4560090534