2016 Fiscal Year Research-status Report
シェイクスピア演劇とエリザベス朝・ジェイムズ朝の説教との比較文献学研究
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15K02372
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
鶴田 学 福岡大学, 人文学部, 教授 (60352225)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | シェイクスピア / エリザベス朝 / 演劇 / 説教 / 修辞学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ロンドンの壁の外にあって享楽的な市場主義的原理に支配されていた公衆劇場と、壁のなかにあってピューリタン・イデオロギーを発信した説教との関係を見直し、シェイクスピア演劇が聖俗交錯する特殊な言語空間を形成していたことを解明しようとしている。当時の説教を研究する過程から派生して、修辞学について調査したところ、『コリオレイナス』や『ジューリアス・シーザー』の台詞のなかにこれまで英米の学者も含めてだれも認識していなかった修辞学用語に関連する地口があることを発見した。 その結果は、イギリスの伝統ある学術誌であるNotes & Queries 誌(Vol.261 No.3)に掲載された。本研究は演劇と説教との関係を文献学的に探究し、そこから文化史へと発展する予見から開始したが、説教研究から派生して当時の修辞学を調査する過程で、N&Q誌に採択される国際的な水準の成果が生まれた。 また、2016年5月に開催された日本英文学会では、英国ルネサンスの修辞学と『ハムレット』などの台詞に関する個人発表を行い、それをもとに2017年1月には福岡大学研究部論集に紀要論文を発表した。同様に演劇と修辞学との関連から『甦るシェイクスピア』没後400周年記念論集(日本シェイクスピア協会編、研究社)に「隠喩としてのキケロの手」と題した論考を発表し、『ジューリアス・シーザー』におけるキケロの影響を論じたものが2016年10月に刊行された。 研究の方向性は修辞学に寄っているが、エリザベス朝及びジェイムズ朝演劇の文化論に波及する学際的な、国際水準の研究という意味では、予定通りに研究実績を挙げている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
出願時の当初の計画では、演劇と説教との文献調査を出発点に考えていたが、説教師の語りを分析するために参照した修辞学への関心から、シェイクスピア演劇と修辞学という主題の業績が生まれている。これは当初の目的であった歴史・文化の領域に踏み込む学際的な研究を国内外の高水準の研究誌に発表するという目的にかなったものであり、今後も高度な研究成果を目指していく。また、当時の説教と直接関連した論文を現在準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、シェイクスピア演劇に関して、演劇と修辞学と説教とが交差する研究分野を開拓し、説教師の巧みな語りと演劇上演とがどのように相関的な関係を築いていたかを探求する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた調査のための海外出張や国内外の学会参加が実行できなかったために旅費が少額となった。また、論文校正や印刷・コピーにかかる費用も実際には支出しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の研究活動で有効に活用し、図書の購入を主に行う。
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Research Products
(4 results)