2017 Fiscal Year Research-status Report
大西洋往還知識人ネットワークの形成とスペイン語圏文化地図の変化についての研究
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15K02408
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳原 孝敦 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (20287840)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | キューバ / カルペンティエール / メキシコ / ブニュエル / マックス・アウブ / アルフォンソ・レイェス |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は別紙に示したとおり、論文「劇場と祭のトポス——カルペンティエールの場合」を『れにくさ』8号に発表した。これは以前(2014年)、学会で口頭発表したものを活字化したものだが、活字化に際し、昨年度行ったキューバへの研究旅行の成果も盛り込んだ。キューバの小説家アレホ・カルペンティエールが、キューバからベネズエラに移住した時期の活動も論文には盛り込んだが、その時期には、前者から後者へは大挙してラジオ関係者・音楽関係者が移動したのであり、カルペンティエールがそうした移民のひとりだったことを資料的に跡付けたうえで示すことによって、大西洋の一部であるカリブ海の沿岸地域の間の沿岸地域の人の移動に焦点を当てることができた。 加えて2017年度はメキシコへの研究旅行を行った。スペインからメキシコに渡った作家マックス・アウブおよび映画監督ルイス・ブニュエルについての調査をした。スペインからメキシコへと渡り、生涯をメキシコで終えたこのふたりの知識人の関係については、作家が映画監督についての書いていた小説が未完ながら数年前に刊行されたこともあり、これから大いに考察を展開したい。 申請時に計画していた書籍の刊行の準備も着実に進んでいる。2017年度中の刊行はならなかったものの、年度末に原稿を書き上げ、また、上記研究旅行中に資料や写真の不備を補うことができた。2018年度の研究実績としては報告することができそうである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では広く多くの知識人を対象とすると書いたが、より具体化し成果を実現していくために対象を絞ることにした結果、その対象となる作家たちについての研究は進捗している
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Strategy for Future Research Activity |
応募時の計画に明言した予定される著書のうち、2冊を刊行予定。また研究テーマに即して重要なスペインの作家マックス・アウブの記念館を訪ねてスペインへ研究旅行に行く予定。
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Causes of Carryover |
計画していた資料が入手できなかったことや、調査旅行日数が予定より少なかったことなどが重なり、未使用金が出た。今年度は研究旅行先がヨーロッパになる予定であり、そこで使用されるものと思われる。
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