2017 Fiscal Year Annual Research Report
Literature data of chorographies in Jiangnan region of China
Project/Area Number |
15K02434
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
許山 秀樹 静岡大学, 情報学部, 教授 (10257230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 幸忠 岐阜大学, 地域科学部, 教授 (20209505)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 詩跡 / べん河 / 江南 / 屈原 / 賈誼 |
Outline of Annual Research Achievements |
許山秀樹「唐詩に見られる屈原と賈誼の典故の相違 ―後世に伝えられた人物像―」(『情報学研究』23巻、2018年3月)で、南方の文学を語る上で欠かせない二人の文人屈原と賈誼について考察した。二人とも左遷されたのち、後世の文人によって敬慕されたという点で共通するが、相違点に関してはほとんど考察されなかった。本稿では、二人の相違点を、典故という技法を手がかりとして探求した。その結果、次の相違点を検出した。つまり、(1)屈原はその人生のみならず、文学作品についても後世の文人によって言及されている、(2)賈誼は文学作品に対する言及が少なく、主としてその生涯に関して言及されている、(3)左遷地で死んだとされる屈原を典故として用いることには抵抗があったようだが、左遷地から赦されて都に戻った賈誼は共感の対象となり、積極的に典故として用いられた、(4)賈誼の詩跡が事実に基づいたものであるのと比較して、屈原の詩跡は複数存在するなど、伝説的な側面が強い、などが挙げられよう。 松尾幸忠「詩跡としてのべん河」(『中国詩文論叢』36集、2017年12月)は、隋の煬帝が開鑿したべん河について、詩跡としての側面から述べた。その内容は以下の通り。著者は二〇一六年に現地を訪問し、べん河の状況を調査した。べん河はかつて国家の経済を支えた存在であったが、こんにちでは安徽省宿州市附近にその痕跡をわずかに残すのみで、灌漑用水として用いられている程度である。べん河を詠じた作品を見ると、べん河および隋堤の柳が詩跡として定着したのは唐代で、およそ四種類に類別が可能である。とりわけ目立つのが、煬帝を批判する懐古詩である。また、べん河に対する否定的評価に疑義を示し、べん河の社会経済的役割を評価しようとする立場も同様に現れた。
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Research Products
(2 results)