2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K02450
|
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
丹羽 京子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (90624114)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ベンガル文学 / ベンガル語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベンガル語ベンガル文学の研究の現状を把握し、今後の研究の発展への道筋をつけるために各種研究会を行った。特に今年度は、12月に東京外国語大学で行われた国際ベンガル学会において、語学関連、および文学関連の複数のパネルを主催し、国際的な視野を含みこんだベンガル語学文学研究に端緒をつけることができた。言語研究においても文学研究においても、ベンガル地域はバングラデシュとインドの二国に分断されているため、これまでそのアプローチや重点の置き方が異なってきていたが、このような国際学会の場で、中立的かつ総合的な発表や討議が行われた意義は大きいと思われる。 国際学会における具体的なパネルとして、文学関連では「ベンガル文学におけるフェミニズム」「19世紀の文学」「現代ベンガル文学」「ベンガルの紀行文学」「タゴール研究」など、言語学関連では「ベンガルの社会言語学」「シンタックス」「ベンガル語における統一スタイル・マニュアルの作成」などが挙げられるが、これらはいずれも本研究に関わる内容を持つものである。特に「ベンガル文学におけるフェミニズム」および「ベンガルの紀行文学」は本研究代表者によって企画運営され、さらに関連テーマの追加の研究会も開かれた。これらの発表はすべて英語もしくはベンガル語で行われ、またさらに学会における発表は加筆訂正の上、来年度ジャーナルに発表される予定である。 また、この学会に参加した研究者によって、学会後追加の講演も行われた。そうした特別講演として「タゴールの戯曲」「タゴールの短編小説」がそれぞれ別の文学者により行われたが、これらは国際学会とあわせて研究者のみならず学生および一般の参加者にも開かれていた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の大きな目標であった国際ベンガル学会での語学文学関連のパネルは当初の計画を上回る参加者を得て大きな成果が得られた。文学関連に比して言語学関連のパネルがやや小規模ではあったが、それでもこれまでずっと懸案事項であったベンガル語における統一的スタイル・マニュアルの作成に向けての話し合いが行われるなど、今後に期待の持てるものが少なくなかった。惜しむらくは多くのパネルが同時並行で行われたため、お互いがすべてに参加し討議に加わることが叶わなかったことで、今後はそうした穴を埋め、より緻密なかたちで成果を取りまとめていくことが必要となろう。
|
Strategy for Future Research Activity |
当面は前年度の国際学会における成果を論文のかたちで取りまとめることに精力を注ぐつもりである。現状ではそれぞれの発表を分野別に整理し、各専門分野における責任者が目を通しているところであり、この作業にまだ若干の時間がかかるものと思われる。またその際、これらの最新の言語学関連、文学関連の成果をできるだけ総合的に概観できるものにし、それを世界に向けて発信することが目標である。 それが一段落ついた時点で、来年度以降においては、これらの成果に基づいた上で、基礎的な作業にあらためて取り掛かり、新たなベンガル語文法および語彙集、そしてベンガル語読本の作成にも取り掛かるつもりである。
|