2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K02455
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長崎 広子 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (70362738)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヒンディー文学 / 韻律 / バクティ |
Outline of Annual Research Achievements |
[I. 写本の校訂]同じ系統の別写本の完全なコピーを入手しているSukhdev Mishra(18C.) 著Pingala のヴァルナ韻律について、文字の書き起こしを行った。写本では単語ごとに分かち書きされていないため、意味をなす単語に分けた。なお、この写本については、これまですでに終了しているマートラー韻律の部分と合わせて、単語の分かち書きの作業はすべて終了した。 [II. 写本のコピーの入手]Iの写本との比較対象としての19 世紀の詩論書である次の2 作品 Ramsahay 著 Vrttatarangini(1815)とJani Biharila著 Chandaprabhakarapingala (1889)のこれまで入手していない部分のコピーを入手し、書きおこし作業を行った。写本を所蔵しているインドのベナレスにあるナーガリー文字普及協会で現地調査を行った結果、Vrttatarangini(1815)の写本は完本ではないことが分かった。Chandaprabhakarapingala (1889)の写本については、現地調査を行ったときに、写本のコピーと書きおこし作業を完了した。 [III. 韻律用語の意味の対照表作成] 韻律の規定上用いられる専門用語の意味を表にする作業を行った。作業は次年度も継続予定。 [IV. Bhakti Conference での研究発表] スイスのローザンヌ大学で開催された The 12th International Conference on Early Modern Literatures in North India (通称Bhakti Conference)で、ヒンディー文学最高の詩人のひとりといわれるTulsidasの用いた詩形を取り上げ、この時代を代表するほとんどすべての韻律が用いられている点に着目して、その用法について口頭発表を行った。また、口頭発表をもとにした原稿を同学会が発行する論集に投稿した。 [V. 韻文作品の電子テキスト化] バクティ文学期のヒンディー韻文の作品をローマ字化して入力し、電子テキストを作成した。本作業は今後も継続し、チェックが済み次第、順次公開用のサーバーで公開していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
写本の書きおこし作業が当初の計画どおりに進んだ。また、比較対象としての19世紀の写本のコピーの入手にくわえて、その書きおこし作業ができた点は、計画以上に早く進んだ。 韻律用語の意味の対照表の作成はまだ一部分しかできていないが、今後も作業を継続する。 学会発表や学術論文をとおして、成果の一部を公開できた。
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Strategy for Future Research Activity |
写本の校訂作業を順次すすめ、必要に応じてインドで現地調査を行う。 研究成果を学会発表等を通じて順次公開する。また、古ヒンディー文学のテキスト解釈にはテクニカルな知識を必要とするため、同じ分野の研究者が会してテキストを講読する海外(主としてヨーロッパ)で開催される研究会にも積極的に参加し、より正確なテキスト解釈の方法を学ぶ。
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Causes of Carryover |
インドでの現地調査を行った際に、現地での研究協力者との作業が予定よりも早く済んだため、謝金の残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の電子テキストの作成をインド人タイピストに依頼し、それに使用する。
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Research Products
(3 results)