2016 Fiscal Year Research-status Report
通言語的観点から分析する逆使役化関連形態法の広がり
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15K02489
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Research Institution | Sapporo Gakuin University |
Principal Investigator |
佐々木 冠 札幌学院大学, 経営学部, 教授 (80312784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 英才 札幌学院大学, 経済学部, 教授 (10405631)
白岩 広行 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 講師 (30625025)
奥田 統己 札幌学院大学, 人文学部, 教授 (60224151)
佐久間 淳一 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (60260585)
梅谷 博之 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 講師 (60515815)
Caluianu Daniela 小樽商科大学, 学内共同利用施設等, 教授 (80360973)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 逆使役 / 日本語方言 / ルーマニア語 / アイヌ語 / ニヴフ語 / フィンランド語 / リトアニア語 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は前期から活発に研究活動を行った。 ブカレスト大学のラリーサ・アブラム氏を札幌学院大学に招聘し、7月28日に大通りキャンパスでルーマニア語の再帰構文に関する講演会を行った。また、クローラを使ったルーマニア語データ収集プログラムのあり方についても意見交換を行い、すでに集めたデータについて研究分担者のダニエラ・カルヤヌ(小樽商科大学)と分析を進めることができた。 前年度の反省から2016年度は7月末に研究会を行い、年度の後半を分析に当てることにした。7月30日土曜日と31日日曜日の両日札幌学院大学で研究会を開催し、研究分担者以外に若手の研究者にも参加してもらい、意見交換を行った。 研究成果の出版もあった。研究代表者である佐々木冠が書いた論文「Anticausativization in the northern dialects of Japanese」がMouton社から出版された『Transitivity and Valency Alternations: Studies on Japanese and Beyond』(Taro Kageyama and Wesley Jacobsen (eds.))に掲載された。 この研究計画を進めるためにニヴフ語のテキストデータをUnicode対応のIPAに置き換える作業も進めることができた。また、前年度から行っているクローラを使った日本語方言とルーマニア語のデータ収集も進めることができた。ただし、収集したデータの件数が1年目に比べると少なくなっており、クローラによるウェブサイトの巡回のあり方について工夫が必要である。 この年度は逆使役形態法における非正規構造の研究も進めることができた。『日本語研究のフロンティア』に掲載された「現代日本語における未然形」において研究代表者である佐々木は北海道方言の自発述語におけるラ入れ形式の分析を展開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の反省から前期に研究会を行い、そこで出た意見をもとに後期に研究を進めた。このことにより、効率的に研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者である佐々木冠が2017年4月から別な大学に転勤することになったため、研究室のサーバで進めてきたクローラを使った日本語方言およびルーマニア語のデータ収集の体制を新しく構築する必要が生じた。クローラを使ったデータ収集は佐々木の転勤先でも行う予定であるが、これまでとは異なる必要になる可能性もある。
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Causes of Carryover |
本研究計画で2016年度に次年度使用額が生じたのは、いくつかの事情があるが、最大のものは、研究代表者が2015年度から2016年度にかけて学会で要職に就き多忙を極めたため、2015年度(2016年度の前の年度)に研究計画の進捗が思うように進まず、次年度使用額が生じたことである。また、2016年度に前年度から繰り越した予算の使用を研究分担者に呼びかけることを徹底しなかったことも次年度使用額が生じた原因の一つである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度に次年度使用額が生じた上記の事情を反省し、研究分担者との間で予算に関してしっかりした連絡を確立するようにしたい。また、2015年度に生じた研究計画上の遅れは2016年度にある程度取り返すことができたが、最終年度である2017年度は遅れを全面的に取り戻すためにこれまで以上に活発に研究活動を行い、予算を有効に活用したい。 2016年度と同様研究会を前期に行うとともに、後期は研究代表者と研究分担者間の意見交換を密に行い、研究の進捗を促す。また、研究成果の出版に向けた準備を進めたい。
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