2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K02577
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
田中 ゆかり 日本大学, 文理学部, 教授 (40305503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 直樹 日本大学, 文理学部, 助手 (70707869)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヴァーチャル方言 / 言語意識 / 方言 / 共通語 / 方言コンテンツ / 方言キャラ / Web調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は、ヴァーチャル方言の実態と意識についての調査・分析を、5つの観点から実施し、さまざまなかたちで成果公開等も行った。以下、実績概要を5つの観点別に示す。 ①ヴァーチャル方言の使用が認められる方言コンテンツの収集とその分析を行った。具体的には、テレビドラマ(NHK大河ドラマ、連続テレビ小説、地方局制作ドラマ)、マンガ(九州弁マンガ)・ミュージカル(劇団四季「ライオンキング」、宝塚歌劇団「外伝ベルサイユのばら-アンドレ編-」)を取り上げた。このうちいくつかについては論文・エッセイ・講演等のかたちで成果公開した。②全国47都道府県に居住する20代以上の男女約一万人を対象とした「2015年全国方言意識Web調査」を実施し、方言と共通語に対する意識(言語意識)と、記憶に残る方言コンテンツ・方言キャラにかんするデータを得た。この調査については他の共同研究と連携したものである。収集したデータの一部については、研究分担者・共同研究者らとともに論文化し、2016年度7月に公開予定である。その他データについては、成果公開を目指し鋭意分析中である。③日本語社会における方言の価値と位置づけの変遷をたどるため、公開されているデータベースに基づき全国一般紙2紙(朝日新聞「聞蔵Ⅱ」、読売新聞「ヨミダス歴史館」)における「方言」を見出し・本文・キーワードに含む記事の収集と分析を行った。近日中に成果公開予定である。④コロンビア大学東アジア言語文化学部招聘中に、共同研究者らの助力を得つつ、北米における方言ステレオタイプにかんする文献の収集を実施し、日本語社会との対照研究の手ががりを得た。⑤「打ちことば」に現れるヴァーチャル方言データの収集・分析をスマホを用いたWeb調査の形式で行った。鋭意分析中である。 いずれの観点においても、研究分担者・協力者らとは緊密に連携をとりながら、本研究課題を遂行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で示した通り、本研究課題はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題については、研究分担者・協力者らととも緊密に連携をとりつつ、2015年度研究実績の概要で示した5つの観点を核とし、さらに本研究課題を進展させたい。 5つの観点とは、①方言コンテンツの収集と分析、②日本語社会における方言・共通語に関連した言語意識形成と変遷ならびにその地域差とその背景などの検討、③日本語社会における「方言」のありようと認識についての新聞記事等に基づく表象分析、④方言ステレオタイプにかんする対照研究の手ががり探索、⑤「打ちことば」におけるヴァーチャル方言使用の実態調査とその分析--である。
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