2018 Fiscal Year Research-status Report
「留学生10万人計画」はいかに経験されたか―元就学生・教職員のライフストーリー
Project/Area Number |
15K02661
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Research Institution | Ferris University |
Principal Investigator |
田中 里奈 フェリス女学院大学, 文学部, 准教授 (40532031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 冴里 山口大学, 国際総合科学部, 准教授 (00634750)
細川 英雄 早稲田大学, 国際学術院(日本語教育研究科), 名誉教授 (80103604)
三代 純平 武蔵野美術大学, 造形学部, 准教授 (80449347)
佐藤 正則 山野美容芸術短期大学, その他部局等, 講師 (50647964)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ライフストーリー / 留学生10万人計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1983年に策定された、いわゆる「留学生10万人計画」にさまざまな立場でかかわった関係者(就学生、日本語教師、教育・行政機関の職員など)に対して、聞き取り調査を行い、彼らの経験を収集・記録・分析することを目的としている。上記の目的を達成するために、昨年度に引き続き、文献調査、および、インタビュー調査、成果報告などが行われた。それを通じて、彼らが教育をどのように位置づけてきたのか、「留学生10万人計画」の内実を包括的に明らかにしていこうとするものである。 成果としては、1997年に開催された「箱根会議(日本語教育振興協会によって開催された日本語教育セミナー)」に参加していた日本語教師でコンタクトのとれた11名へのインタビュー調査が終了したことがあげられる。就労目的の就学生を大量に受け入れる営利目的の日本語学校が急増し社会問題化した1980年代当時に、日本語教育にかかわっていた教師たちの語りからは、当時の状況に困難を感じながらも、就学生への日本語教育に教師としての意味や喜びを見出していたことが明らかとなった。日本語教師として自らを主体的にアイデンティファイしようとしていたのである(業績欄・学会発表1)。 元就学生へのインタビュー調査の実施に関してはやや遅れているが、「留学生10万人計画」時代に留学した彼らの留学経験に対する多様な意味づけは徐々に明らかになりつつある。2019年度は、前者を論文化するとともに、後者に関しても成果報告の形にまとめていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者(田中)および分担者(山本)が「産前産後の休暇および育児休業」を取得し、研究活動を休止していたこと、また、その後の育児の負担により、2人が担当していた元就学生へのインタビュー調査が遅れており、結果の考察にも時間を要している状況にある。また、「留学生10万人計画時代」に留学していた新規のインタビュー協力者への調査依頼までにやや時間がかかっており、インタビュー調査が難航している状況にもある。
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Strategy for Future Research Activity |
「産前産後の休暇又は育児休業の取得に伴う科学研究費助成事業補助事業期間延長」が認められたため、2019年度は遅れている元就学生へのインタビュー調査を実施し、引き続きデータの収集・分析を行っていく。当初の予定では、上海での聞き取り調査も予定していたが、育児等の理由からその実現は難しいと思われるため、元就学生への聞き取りは国内に限定して実施することとし、後半は、成果報告の形にまとめていく作業に入る。教師への聞き取りに関しては聞き取りを終え、上海事件・箱根会議・実践研究を観点とした口頭発表まで終えているため、学術論文等での発信を行っていく。
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Causes of Carryover |
出産・育児により、調査およびデータの分析に遅れが生じている。2019年度は、遅れている元就学生へのインタビュー調査を集中的に行い(国内旅費・謝金)、早急に文字化作業も終えて(人件費)、分析・考察を行う。一方、教師への聞き取り調査に関しては、順調に進んでおり、聞くべき人物への聞き取りはほぼ終えることができているが、再度聞き取りを行う必要がある協力者もいるため、追加の聞き取り、および文字化作業に研究費は使用する(国内旅費・謝金・人件費)。
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Research Products
(1 results)