2015 Fiscal Year Research-status Report
冠詞選択のプロセス・モデルの構築とフローチャートシートを用いた冠詞指導の効果
Project/Area Number |
15K02680
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
高橋 俊章 山口大学, 教育学部, 教授 (00206822)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 冠詞選択 / プロセスモデル / パス解析 / 決定木分析 / 第二言語習得 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでも冠詞の学習と指導に関する研究は行われてきた。例えば、冠詞指導の効果に関する研究(例:Master, 1994; Takahashi, 2010)がなされ、指導の効果が報告されていたが、冠詞選択の過程(プロセス)に関するものではなかった。同様に、Cho and Kawase(2011) は、認知言語学の知見を取り入れて、典型的な可算名詞と不可算名詞との違いを学習者に教えることにより、冠詞選択の正確さを増すことができることを示したが、彼らの研究も冠詞選択の過程(プロセス)に関するものではなかった。 それ以外にも、学校現場での冠詞指導の立場からではなく、第二言語習得研究の観点から、「特定性」が学習者の冠詞選択の判断に及ぼす影響を調査したもの(例:Ionin, Ko & Wexler, 2004; Parrish, 1987; Thomas, 1989)があったが、それらの研究も、冠詞選択の過程(プロセス)に関するものではなかった。 そこで、本研究では、冠詞選択問題による調査と冠詞選択に関係する要因(名詞や指示対象物が、それぞれ、可算かどうか、定かどうか、特定かどうか、個別かどうか、具象的かどうか、聞き手に何を指しているか知られているか、同定可能か、唯一か)に関する質問紙調査を20名の調査協力者を対象に実施し、どのようなプロセスで冠詞の選択が行われているかを調査した。その後、得られたデータを最も的確に説明できる冠詞選択のプロセス・モデルをパス解析(AMOS使用)や決定木分析(R使用)を用いて分析した。その際、冠詞選択のプロセスに関してこれまで先行研究で提案されている4つの主要なモデルを分析の対象とした。 分析の結果、日本人英語学習者の冠詞選択プロセスが、Master(1990)によって提案されたモデルと最も一致することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って1年目の計画はほぼ順調に進展している。 冠詞の選択過程を調査するための問題作成及び実施が完了し、調査結果の分析も完了している。分析した結果は、学会で口頭発表し、また、発表した結果は論文としてまとめ、2016年3月に全国誌(査読あり)に掲載されている。 ただし、平成28年度の調査に使用する問題作成がまだ完成しておらず、鋭意作成しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
5月末、遅くとも6月中には平成28年度の調査に用いる冠詞の問題作成を行い、7月中には調査を実施したい。 進行が遅くなったのは、大学内の仕事に追われ、問題の作成協力者との日程調整が困難だったためだったが、今後は日程調整については特に大きな支障がない見込みであり、時間の重点的な割り振り等を含め、今年度の計画実施がスムーズに進むよう配慮する予定である。
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Causes of Carryover |
大学内の仕事に追われ、問題の作成協力者との日程調整が困難だったため、平成28年度調査用の問題作成が作成できず、また、作成した問題の英文校正の謝金の支払いが発生しなかったため、人件費・謝金額が0円となり、そのため次年度使用額を生じることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
5月末、遅くとも6月中には平成28年度の調査に用いる冠詞の問題作成を行い、前年度使用予定だった人件費・謝金を使用する予定である。
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