2016 Fiscal Year Research-status Report
言語学習ポートフォリオを活用したCLTの日本への文脈化
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15K02700
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
清田 洋一 明星大学, 教育学部, 教授 (60513843)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 言語学習ポートフォリオ / プロジェクト型学習 / CAN-DOリスト / 自己省察 |
Outline of Annual Research Achievements |
本件研究の目的は、Communicative Language Teaching(以下、CLT)の促進ツールとしての言語学習ポートフォリオの開発と活用方法の研究である。「言語は使うことを通して習得するものである」という考えに立ち、学習者が学校という枠を越えて、自律的な学習を生涯にわたり継続することを支援する言語学習ポートフォリオの開発とその活用方法の研究を行う。 この目的を達成するために、今回の科研では次の3点を焦点化した。①CAN-DOリストの各達成目標に適した効果的な学習活動の開発:この点については、多くの教師が自律的に取り組むことが可能な、より汎用性のある体系的なCAN-DOリストの項目設定の方法、およびそれに対応する指導方法と評価方法を開発することを目指し、昨年度に引き続き学習環境の異なる3つの高等学校に中学校1校を追加し、計4校で実践を行った。該当年度では、特にポートフォリオに必要な学習プロセスの意識を深めることを目指して、プロジェクト型学習の充実を図った。②自己評価活動の一層の充実:このテーマでは、昨年度に引き続き、協同学習の観点から、相互支援的な評価活動の方法の開発の進化をめざし、前述の4つの学校の取り組みにおいて、これまでの開発した異なる学習環境下においてそれぞれに適した評価活動の指導方法をさらに充実させた。さらに、自己評価には、自分の学習に対してより意識的になることが効果的と考え、美術鑑賞をとおした自己省察というプロジェクト型学習を実践している学校の取り組みを、ポートフォリオ開発に応用した。③小学校、中学校、高等学校、大学、さらに社会人として継続的に活用できる言語ポートフォリオの開発:このテーマでは、ポートフォリオの項目に、学習者が、自分の学習の資料をまとめるドシエの項目の導入が自己省察に有効と考え、これまで開発したポートフォリオの項目に追加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の科研では次の3点の中心的な目標としている。 ①CAN-DOリストの各達成目標に適した効果的な学習活動の開発 ②自己評価活動の一層の充実 ③小学校、中学校、高等学校、大学、さらに社会人として継続的に活用できる言語ポートフォリオの開発 ①については、昨年度に引き続き、学習環境の異なる4つの学校の先生方と指導方法について言語学習ポートフォリオを活用した指導方法の開発を行った。この結果、学習者の状況や指導方法が異なっても、開発した学習ポートフォリオを活用することで、柔軟な対応が可能であることが確認できた。②については、昨年度、開発した異なる学習環境下においてそれぞれに適した評価活動の指導方法について、さらにそのノウハウを応用できる汎用性を高めることができた。③については、高等学校に加え、あらたに中学校版の言語学習ポートフォリオを開発することを目指し、中学校の検定教科書を分析し、CAN-DOリストを開発した。特に該当年度では、これまでの成果を理論編と実践編という形でまとめ、より整理された形で検討が可能になったので、より研究の成果と方法が整理され、開発した言語学習ポートフォリオをより一般的な形で活用する汎用性が高まった。以上の状況から、年度当初に掲げた目標に沿って、順調に研究が進んでいると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の焦点である①CAN-DOリストの各達成目標に適した効果的な学習活動の開発、および②自己評価活動の一層の充実については、引き続き学習環境の異なる4つの学校において、実践を継続して、言語学習ポートフォリオを活用した指導方法や学習活動の進化を目指す。特に今年度は研究の最終年度なので、各実践校において、学習者だけでなく、担当教師の言語学習ポートフォリオを活用した指導方法の向上の確認にも焦点を当てる。その際に、教師自身の授業力を自己評価するポートフォリオJ-POSTLを活用することで、学習者と教師それぞれのポートフォリオの有効性を確認する。また、③小学校、中学校、高等学校、大学、さらに社会人として継続的に活用できる言語学習ポートフォリオの開発については、これまでの中学校及び高校での成果を組み合わせて、中学校と高等学校の英語学習の継続をより効果的に支援する言語学習ポートフォリオの開発を進める。また、この成果を国内外の英語教育関係の学会にて発表し、広く意見を求める。また、本ポートフォリオ研究の目的として、学校単位の言語学習ポートフォリオではなく、生涯学習のツールとして、広く、継続的に活用されることを目指している。そのため、最終年度の目標として、その目的に沿って、これまでの成果を、誰もが情報を共有できる一般研究書として出版する予定である。
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Causes of Carryover |
言語学習ポートフォリオの実践研究を学校数が予定していた学校数よりすくなくなり、その際使用予定だった言語学習ポートフォリオの印刷、および製本代が予定より減額したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では、言語学習ポートフォリオの実践研究を実施する高等学校および、中学校が増加する。その増加した学校で使用するポートフォリオの印刷、および製本代として使用する。また、最終年度として、研究成果を広く発表するため、国内外の学会参加の旅費として支出予定である。
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Remarks |
教育問題研究会webサイト
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