2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K02721
|
Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
吉重 美紀 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 教授 (80156265)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | トップアスリート / Can-do / 課題遂行 / 異文化理解 / 教材作成 |
Outline of Annual Research Achievements |
トップアスリートが試合等で海外渡航した場合、実際に遭遇しそうな具体的場面をバレーボールと水泳の2つの競技で7~8つ抽出し、その場面でのCan-do(例えば、試合の出場に必要な手続きを行う、試合に出場する、試合後インタビューを受ける、出場した試合について話す、チームの選手を応援する等)を各場面で設定し、これを達成するための学習を設計した。教材の特徴として、アスリートの各場面での英語による「課題遂行」を出発点とし、Can-doの達成を学習目標にして、場面を重視した読み/書き/聞き/話す教材を作成中である。教材ではまず、Can-doの達成場面をinputし、その中で言語項目(専門語彙や表現)を意識化させ、実際のコミュニケーション場面の中でアスリートが必要だから学べるよう、自然な文脈を設定するようにしている。また課題遂行に必要なことば(言語)はもちろん、文化(異文化)理解能力も高める教材にできないか検討している。 教材作成のほか、本学の自転車部がヨーロッパを拠点にし東京に支社のある某企業(語学学校も経営)と連携し、部員に英語を学ばせた後海外のチームに派遣する計画があり、その企業の人からも話を聞いた。今後この企業のアスリートへの語学指導も実際に見学し、教材作成や教材を使った指導の参考にしたいと考えている。 2020年の東京オリンピック、パラリンピックの開催に向け、ますますアスリートを対象にした英語の指導は注目を浴びると予想されるので、広くアンテナを張って、より充実した教材を作成できるようにしたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
予定していた2つの競技の海外遠征への同行が、本学学生の試合結果等により実現できず、撮影ビデオからの場面抽出はできなかったため、各競技特有の場面抽出にはいたっていないが、競技関連の雑誌や試合のサイト等から予想される場面の抽出と関連語彙、表現等を集めている段階である。 今年度の後半になって、実母が手術・長期の入院となり、現在も介護が続いていて多忙をきわめ、予定していた計画で研究を実施できず、遅延が生じてしまった。また海外学会の参加も予定していたが、様々な事情で今年度は参加を見送ったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
海外、国内で出版されたスポーツ競技関連の英語テキストの構成等を参考にしながら、場面中心の英語コミュニケーション能力向上をめざす教材を作成する。教材では、場面を中心にトピック毎のCan-doを提示し、トップアスリートが国際大会や海外遠征などで遭遇する場面で必要となる英語の語彙や表現等がわかり、教室外で学習可能なスポーツ分野のESP教材を完成する。教材を活用すれば、トップアスリートが競技前後に他国の選手と情報交換できるばかりか、必要な場合インタビューに英語で答えたり、審判に試合状況を伝え抗議することも可能となる。 アスリートの理解に基づいた場面設定や場面設定をした語彙・語句の導入など、実際のコミュニケーション場面で使用できるよう教材構成のデザインに注意して作成する。試合の大会要項など、オーセンティックな素材も利用し、トップアスリートが自律した言語使用者となるよう、教材の中で言語学習のストラテジーの意識化も図っていきたい。 夏季休暇中に2つの競技を大学英語テキストの分量程度で各1冊にまとめ、秋に本学の2つの競技団体(部活)選手やコーチに使用してもらいフィードバックをもらう。その後年末までに最終版作成に向け修正等改善を図り、年明け1月末までにはペーパーベースの教材を印刷に回せるように進めていく。 幸い、今年度前期の英語の授業のティーチングアシスタントが水泳選手でもあるので、水泳の試合場面等に関する情報提供など研究協力を求めるようにする。
|
Causes of Carryover |
予定した海外学会の参加や関連競技の海外渡航に同行できず、旅費を支出しなかったため。次年度の使用計画は、ペーパーベース教材の試用版の作成と最終版(印刷)を主とする予定だが、他に研究成果の発表等での学会出張(海外含め)や関連図書等の購入に充てる予定である。余剰金が生じた場合可能なら、ペーパーベースからe-learning教材への作成も検討する。
|