2018 Fiscal Year Research-status Report
英語教員に必要とされる英語運用力の評価・診断のための授業観察システム開発
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15K02794
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
渡部 良典 上智大学, 言語科学研究科, 教授 (20167183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 幹雄 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (70353381)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 英語教員の英語運用能力 / 英語教員の指導技能 / 授業力の診断 / 授業観察システム / 学習効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の成果は以下の通りである。第一に、様々な観察システムを使い実際の英語指導場面を記述した。各システムの妥当性を確認した。妥当性検証は7名の大学院生とともに行った。検証の対象としたのは主に、1)トランスクリプション、2)フィールド・ノート、3)カテゴリー・システム、4)談話分析の4種である。1)は単純な1対1の面接の場面を記載することにより授業で行われる複雑な言語行動の準備とした。結果を基に討論をしてガイドラインを整備した。2)は「経過時間」、「教員の発話と行動」、「学習者の発話と行動」、「板書」、「教材」、「観察者のコメント」を記載事項として、各観察者が自由に記述をした。その後それぞれの記録を互いに検証しあい、客観的な観察には多角的な視点(triangulation)が必要であることを確認し、ガイドラインに含める事柄とした。3)については事前に準備したおおよそ30項目から成るチェック・リストを用い、授業観察を行いながら時間経緯とともにチェック・マークを記し最後に頻度を算出した。4)については、1)で記載した文字起し資料を基にさらに複雑な授業中で行われている教師と学習者、学習者と学習者のやりとりを記載し、Initiate、Response、Feedbackがどのように行われているかを分析した。第二に、学習者の内的要因を検証するための方法として、5)Diary、6)Up-take recall chart、さらに教員の内的要因を検証するための方法として、7) Stimulated Recall Tasksを実施した。5)および7)については実地に使用するには至らなかった。6)については記録の方法と、結果の分析方法等について確認した。時間切れで本年度は最終的なとりまとめには至らなかったものの、各参与者が上記1)から7)までのそれぞれについてレポートを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述した通り、現在までにシステムを構成する要素の検証については概ね予定した通り達成した。即ち、1)トランスクリプション、2)フィールド・ノート、3)カテゴリー・システム、4)談話分析、5)Diary、6)Up-take recall chart、7) Stimulated Recall Tasksである。これらに加えて当初予定していたのは、8)観察に基づいた指導技能の評価基準の作成と、9)結果のフィードバックの様式作成である。本研究に統合することについては立ち後れてはいるものの、8)については一昨年前にすでにケンブリッジ大学開発のTKT practicalを参考にして試作版を検討している。また、9)については、Watanabe & McEvoy (20017)でレーダーチャート形式のフィードバックを使っており、すでにひな形は出来ている。時間切れで本度は全体を統合するまでには至らなかったが、システムを構成する各要素については検討し、実施する準備が出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は以下の事項について作業を行う。1)トランスクリプション、2)フィールド・ノート、3)カテゴリー・システム、4)談話分析、5)Diary、6)Up-take recall chart、7) Stimulated Recall Tasks、それぞれの使用ガイドラインの確認。8)観察に基づいた指導技能の評価基準の作成。9)結果のフィードバックの様式作成。それぞれの道具を完成させ、さらに全体が一つのシステムとして機能するよう、要素間の関連付けを行う。最終版を授業観察に使用し不備な点は改訂し完成版とする。以上を報告書としてまとめる。同時に研究発表用にデータ分析を行う。さらに本研究に基づいて出版のための企画書を作成する。
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Causes of Carryover |
以下の理由により次年度使用額が生じた。1)研究代表者と研究協力者がそれぞれ独立して研究を進めたため交通費がかからなかった。2)データ収集は行ったものの、分析の準備が間に合わず予定していたほど謝金が必要にならなかった。3)国際学会で1件の発表を行ったものの、研究の遅れにより国内外での発表が出来なかった。4)予定していた報告書をまとめることが出来なかったため印刷代その他出版準備にかかる費用がかからなかった。5)データ分析の遅れによりすでに保持しているソフトウェア等で間に合わせることができ購入に費用がかからなかった。以上の理由により余剰が生じた。従って以上5点がすなわち2019年度支出を予定している項目となる。換言すると以下の通りである。研究代表者と研究協力者が協議を進めながら研究を進め、最終報告書および出版の企画書作成に協力者の補助を仰ぐ。さらに成果の発表を行う。これらの作業を行うため、交通費、謝金、データ分析のための機器およびソフトウェアを購入する。
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