2016 Fiscal Year Research-status Report
法廷記録の比較対照による帝政ロシア統治期中央アジア社会史
Project/Area Number |
15K02815
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
矢島 洋一 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (60410990)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 中央アジア史 |
Outline of Annual Research Achievements |
中央アジアは19世紀後半から20世紀初頭にかけて帝政ロシアの統治下に置かれ、その間に伝統的な在地ムスリム社会は大きく変容した。本研究は、その変容の過程を同時代に作成された二種類の法廷記録、すなわち、(1)イスラーム法を運用していた伝統的な現地ムスリムの法廷がテュルク語で記録した「民衆法廷台帳」と、(2)ロシア植民地当局がロシア法に基づき独自に主宰する法廷がロシア語で記録した「管区法廷記録」、とを比較対照することによって解明しようとするものである。今年度も昨年度同様、ウズベキスタン共和国中央国立文書館所蔵資料、特に当該時期のサマルカンド州で作製された民衆法廷台帳・管区法廷記録の調査・分析を進めるとともに、今後の成果発表に向けてのデータ化作業をも行った。また、両法廷間の管轄領域を定めたトルキスタン地方統治規程の改正過程の分析も同時に進行し、法規と法実践との関係について検討した。以上の研究成果の一部は、本年度に刊行された『日本中東学会年報』32巻2号に "Russian Supervision over Islamic Courts in Early Twentieth-Century Samarqand" と題して発表した。その中で、20世紀初頭のサマルカンドにおいて管区法廷が民衆法廷の判決を破棄しようとする際に提起したプロテスト(異議申し立て)事由の時期的変化とその背景について考察した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに資料調査が進み、収集した資料の分析も進行している。またその成果の一部を論文として発表出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度と同様の作業を進めつつ、成果のまとめに向かう予定。
|
Causes of Carryover |
物品費として使用する予定だったが、急ぎ必要としかつ残額内で購入できる物品はなかったため、次年度に繰り越す方がより有効に使用できると判断した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に必要な物品の購入費の一部に使用する予定である。
|
Research Products
(4 results)