2015 Fiscal Year Research-status Report
冷戦期米英世界戦略と帝国的秩序の再編、1952年‐1954年
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15K02821
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
鈴木 健人 明治大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (90275397)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 米英同盟 / 冷戦史 / 世界戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
本予算による研究活動の開始が10月以降となったので、申請時に予定していたイギリスでの史料調査を学内の別の予算で英国での滞在期間を短縮して実施した。その調査によって入手した史料と前回の科研費によって調査収集した史料を活用しながら、本研究計画に基づく研究を進めた。また書籍などを大量に購入することができるようになり、研究を進めることができた。英国が1952年に策定した世界戦略文書の前段階の政策文書として、1950年5月に策定された世界戦略文書(以下GSP‐1950と略)があり、その成立過程とその後の展開を米英関係の視点から分析することができた。米国側の世界戦略文書である国家安全保障会議文書第68号(以下NSC-68と略)とGSP-1950の比較研究をすでに発表したので、それを前提にして1950年5月にロンドンで開催された米英仏外相会談へ向けた米英両国の準備作業を解明した。これまでわが国学会ではGSP-1950は十分知られておらず、したがってまた研究されていなかったが、筆者の研究によってある程度研究が進んだのではないかと自負している。米国側についても、1950年1月末のトルーマン大統領による水爆開発決定と国家戦略の見直し作業開始の指示より前から、すでに国家安全保障会議事務局と国務省の一部では国家戦略の再検討作業が始まっていたことを初めて発見し、その成果を論文にまとめて発表することができた。部分的ではあるが冷戦史における1950年前半の歴史解釈を、米英関係を軸にして修正しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は10月から本予算による研究を開始したため若干の遅れが生じている。当初予定していたイギリス国立公文書館での一次史料調査は滞在時間を短縮して学内の別の予算で行った。史料調査が当初の予定通り進まなかったため、1952年に行われた英国世界戦略の再検討作業の過程を分析するには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度夏から勤務先の明治大学から1年間もしくは2年間の研究休暇が与えられたので、ロンドン大学を拠点として英国側の史料を集中的に調査し収集することが可能になると思われる。英国滞在中にGSP-1952の成立過程に関する史料を収集し、米国側史料と対照しつつ分析することで一挙に研究を進めることができると期待している。
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Causes of Carryover |
昨年度は10月から予算措置を伴う研究を進めた結果、夏季休業中に予定していたイギリス国立公文書館での調査を大学内予算によって実施したため、約3週間分の調査関係費用が未使用となった。また10月から書籍等を鋭意収集したが、必要な書籍は予算を全て使用しなくとも一応収拾できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度夏から研究休暇によって研究の拠点を長期にわたりロンドンに移すため、国立公文書館における史料の収集が大幅に進展することが予想され、史料のコピー代が大幅に増加することが予想される。また関係書籍も現地で収集するとともに、日本で出版された研究成果を入手するための費用が必要となる。これらによって予算を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)