2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K02844
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
伊藤 俊一 名城大学, 人間学部, 教授 (50247681)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 荘園史 / 環境史 / 水害史 / 開発史 / 農業史 / 村落史 / 請負代官 / 室町時代 |
Outline of Annual Research Achievements |
東寺領山城国上野荘(上桂荘)について、土地台帳や年貢帳簿をデータベース化して、年貢収取の増減を明らかにすると共に、GISも利用しながら絵図と空中写真の読解と現地調査によって、水害と再開発による耕地の変遷を復元した。また上野荘の復旧・再開発の担い手についても文書から復元した。その結果、上野荘については、洪水と河道遷移のインパクトを受けながら、再開発を担う主体が在地領主の下司から請負代官へと変遷したことが明らかとなった。この成果は読史会(京都大学)で発表したほか、共同研究員を務める総合地球環境学研究所での研究会でも報告し、古気候学の成果が示す降水量・気温の変動との関連を議論して、貴重な示唆を得た。 また東寺領播磨国矢野荘について、豊富に伝来する散用状のデータを研究補助員を使ってエクセルに入力し、年貢収取の増減等の分析の準備をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上野荘(上桂荘)の現地調査、研究のまとめと研究発表、論文執筆に集中し、その過程でGISやグラフソフトの習熟にも時間を取られたため、他荘園の調査をする余力がなかった。播磨国矢野荘については、研究補助員を雇用して年貢帳簿のデータベース化を進めたが、入力に予想以上の時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
上野荘(上桂荘)については早急に論文を投稿して研究を終了し、そこで得られた知見や経験を生かして他の荘園の研究を促進する。矢野荘については年貢帳簿の入力はほぼ終わったので、土地台帳の入力、データベース化と分析、現地調査を進める。
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Causes of Carryover |
山城国上野荘の調査、研究のまとめと論文執筆に集中したため、他の荘園の史料収集や現地調査をする余力がなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は播磨国矢野荘をはじめとする諸荘園の史料収集のための物品費、データ入力のための研究補助員謝金、現地調査の旅費などに合算して使用する予定。
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Research Products
(1 results)