2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K02844
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
伊藤 俊一 名城大学, 人間学部, 教授 (50247681)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 荘園史 / 環境史 / 災害史 / 日本中世史 / 農業史 / 開発史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度に15世紀後半における諸荘園の荒廃とその原因を明らかにするため、播磨国矢野荘の算用状や内検帳の検討を行い、仮説を立てて研究報告を行った。この仮説を検証し研究論文を執筆すべく矢野荘の現地調査を行う予定を立てていたが、新型コロナウイルス禍により出張できなくなったために延期し、今年度に実施する予定でいた。ところが今年度もウイルス禍による出張禁止は継続され、耕地に用水が流れている季節での調査を行うことが不可能となっため、再度延長し2022年度に調査を実施することにした。そのため、研究論文の執筆は進められなかった。 今年度より「環境応答の歴史学」の構築を目指した新たな研究計画が採択され、本研究の成果もその視点から見直した結果、気候変動に対応した水旱害の発生に一定の周期性があることが明らかとなった。気候変動が持つ周期性と2度とない歴史的事象とをどうすり合わせるかについての理論的検討を模索した。 また本研究の成果を取り入れて荘園史の通史をまとめた『荘園』(中公新書)が9月末に刊行され、大きな反響があった。朝日新聞・毎日新聞・産経新聞等で書評され、「『古気候学』の知見動員し荘園研究の新成果を紹介」(週刊エコノミスト)など、気候変動と水旱害の関係について検討した本研究の成果についても注目が集まり、諸紙誌からのインタビューに応えたほか、国際経済研究所の依頼で「気候変動と日本史」という小文を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
15世紀の諸荘園の荒廃の原因を探る研究論文の執筆がコロナウイルス禍による調査出張の禁止によって遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウイルス禍による出張禁止が解かれ次第、播磨国矢野荘等への調査出張を実施し、研究論文の執筆にかかる。
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Causes of Carryover |
今年度もコロナウイルス禍により出張が禁止され、調査出張ができなかった。規制が緩和され次第、調査出張を行う旅費に充当する。
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Research Products
(1 results)
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[Book] 荘園2021
Author(s)
伊藤 俊一
Total Pages
312
Publisher
中央公論新社
ISBN
9784121026620