2017 Fiscal Year Annual Research Report
"Rakusaidou" of the Hirado domain in the Edo period A basic study on the book environment surrounding the bunko and the formation process of the library
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15K02866
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩崎 義則 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (60294849)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 平戸藩楽歳堂 / 佐伯文庫 / 松浦静山 / 毛利高標 / 松浦史料博物館 / 佐伯歴史資料館 / 佐伯藩政資料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,平戸藩楽歳堂文庫をめぐる書物環境を具体的に明らかにする観点から,(1)松浦静山と書物贈与・交換があった文人大名・佐伯藩主毛利高標(1755~1801)と佐伯文庫との関係に着目した研究を遂行した。次に,(2)として,長崎県所蔵の松浦静山自筆書簡類の全点調査とデータベース化を行った。 (1)については,松浦静山が筆写し,平戸藩楽歳堂文庫に所蔵した天明6年(1786)と寛政5年(1793)の2冊の『佐伯侯蔵書目録』の書目を調査し,そのデータベースを作成した。データ件数(書目数)は,天明6年は,1,503件で,寛政5年は1,652件に及ぶ。 これをもとに,天明6年と寛政5年当時の佐伯文庫の蔵書を復元した。また,両者の書目を対象し,佐伯文庫の分類・整理・管理の事情を解明した。これらは,従来の先行研究では明らかになっておらず,画期的な成果である。続いて,佐伯市歴史資料館が所蔵する佐伯藩政史料『御用日記』についての調査を継続的に実施した。高標藩主在任期のものを中心に,明和8年(1771)~天明8年(1788)までの『御用日記』について,残存する全ての全丁悉皆調査を行った。一ヶ年の『御用日記』について,約1,000丁(×17ヶ年分)の膨大な分量である。その結果,天明元年(1781)の文庫開設を前後する同文庫の形成過程を明らかにすると同時に,天明5年の輸入漢籍長崎直調達が重要な画期となることを究明した。以上の研究成果を,『佐伯文庫の形成過程に関する一考察-平戸藩楽歳堂文庫と佐伯藩の関連史料の分析-』(長崎市長崎学研究所紀要『長崎学』第2号)として公表した。 (2)については,長崎歴史文化博物館において,継続した調査を行い,松浦静山の書簡を中心とした160点の目録データベースを作成した。データは,長崎県へと寄贈済であり,今後,長崎歴史文化博物館の資料検索データベースとして活用される予定。
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Research Products
(3 results)