2016 Fiscal Year Research-status Report
The Research for Chinese Legal History under the Yuan-Ming Period
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15K02890
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
徳永 洋介 富山大学, 人文学部, 教授 (10293276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 正人 金沢大学, 法学系, 教授 (60237427)
小島 浩之 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 講師 (70334224)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 律例 / 法典編纂 / 刑罰制度 / 官僚制 / 典籍 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、東京大学経済学部において、6月・9月・12月・2月の四回にわたり定例研究会を開催し、『皇明条法事類纂』巻一~巻二「名例類」の精読と検討を行った。基本テキストには引き続き東京大学附属図書館収蔵本の写真版を用い、『中国珍稀法律典籍集成』(科学出版社、1994年刊)所収の点校本もあわせて参照しながら校訂・分析作業を進めた。とくに今年度は『天一閣蔵明代政書珍本叢刊』(線装書局、2009年刊)所収の「条例全文」などと比較対照する便宜に恵まれたこともあり、本書が元代の法律書『元典章』と相似たかたちで編纂された私撰法律文献であり、その成立も本文の主要な内容をなす天順八年(1464)~弘治七年(1494)からさらに三十余年を経た嘉靖六年(1527)以降と考えられることなどが判明した。 また昨年度から整理作業を続けてきた「分類目録」については、主要部分をなす第一巻から第五十巻までに加え、全体の三分の一を占める不分巻の整理作業がほぼ終了し、これまでその扱いが困難であった本書を有効に利用するための基盤整備に一定のめどをつけることができた。 なお、平成28年11月には、富山大学人文学部において共同シンポジウム「中国専制国家の官僚制―『六典』的世界の形成と変容」(科研費15K12938と共催)を開催し、外部の研究者も招いて、唐代から清代に至る時期の官僚制と法典との関係を軸に研究報告と質疑応答を行った。このなかで常に話題になったのは、『六典』的世界を理想として掲げ続けた近世中国の法制と官僚制とに内在する問題であり、ともすれば別物と捉えられがちな両者が実は緊密な関係にあることが改めてメンバーの共有する認識となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『皇明条法事類纂』の整理・分析作業がほぼ順調に進み、本書を明代法制史料として本格的に用いるための基盤が整いつつあるほか、関連史料との比較対照を有効に行うための準備作業も着実に進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定どおり、『皇明条法事類纂』の精読と整理・分析を重点的に進め、同書の「研究解題」および「分類目録」の完成をめざす。また、その成果の一環として、平成30年度以降に東京大学附属図書館のwebサイトに原書全文の写真版と「解説目録」の掲載をできるよう準備を進める。
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Causes of Carryover |
「分類目録」の完成度を高めるべく、未定稿の刊行を見合わせたことと、購入予定の図書資料が年度内に入手できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
史料整理の成果としての「分類目録」および「研究解題」の刊行とシンポジウム開催のため遠方からの研究者への旅費の支給を計画している。
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Research Products
(4 results)