2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K02905
|
Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
堀地 明 北九州市立大学, 外国語学部, 教授 (70336949)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 清代嘉慶・道光年間 / 北京 / 通州 / 漕糧 / 回漕 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は第3年目であり、引き続き19世紀前半における北京の食糧問題を研究の重点とした。2016年3月に公表した論文「清代北京の食糧流通」(七隈史学会『七隈史学』19、2017年3月)を基礎として、大運河を通じて通州と北京に北運された漕糧(貢米)が北京から南方へ逆流し、再度漕糧として納入される回漕現象について研究を進めた。具体的には、回漕現象とは何か、回漕の対象となる米糧の形状等について、先行研究を批判的に再検討し、回漕の行われる地点と手法、清朝の回漕対策について、新史実を提示しながら解明を行い、回漕問題が清代19世紀前半北京の食糧問題を深刻化させた一つであると論じた。
これまでの研究において、北京城内の食糧流通と回漕問題は一定の解明ができたが、漕糧の商品化と逆流・再納入にとどまっており、北京に流入する漕糧以外の麦等雑糧については、研究は着手できておらず、今後の課題である。
本年度の研究は史料収集と史料分析を同時並行的に進め、学会等で研究成果を報告し、学術誌に投稿するという流れであった。国外では中国第一歴史档案館において、国内では東洋文庫等において、史料の調査収集を行った。史料分析の成果は、「清代嘉慶・道光年間における北京の回漕問題」と題して、12月10日に九州史学会大会東洋史部会にて、12月15日に京都大学人文科学研究所附属現代中国研究センター共同研究班「転換期中国における社会経済制度」において、研究報告を行った。口頭報告は論文としてまとめ、九州大学文学部東洋史研究会『九州大学東洋史論集』に投稿し、審査をへて、2018年3月に掲載され、公表の運びとなった。また、台北と北京にて、昨年に公表した清代北京の食糧流通に関する研究講演を3回行い、台湾・中国の多くの研究者から、有益な助言を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度に公表した研究成果の課題を解明し、論文として研究成果を公表できた
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は本来であれば、3年目の本年が最終年度であった。本研究の主要史料は清代非編纂行政文書であり、3年目は補足的な史料調査を行う予定であった。しかしながら、史料調査の過程で、必要な史料の書誌情報は記録したものの、未だに内容の閲覧ができていないもの、及び特定の分野で史料調査が未完なものもあり、史料の調査収集の継続が課題として残っており、より高い水準で研究計画を完遂させるため、一年間の期間延長を申請し認められた。最終年である本年は、清代中期北京の食糧問題に関する一次史料を調査収集とその分析を継続する。
|
Causes of Carryover |
物品費と旅費は交付内定決定額を超えて執行しているが、人件費の執行率は0%、その他が10%であり、このために次年度使用額が生じている。人件費の執行率0%は研究代表者が史料整理やデータ入力を自ら行ったためであり、その他の執行率10%は当初見積もったよりも文献複写費が廉価だったため、また文書館での文献複写申請が認められず、自ら抄写したことが要因である。次年度は期間延長しての最終年であり、主要には物品費・史料調査に関わる旅費で経費を執行する計画であるが、必要に応じて文献複写費にも執行し、本研究の完遂したい。
|
Research Products
(6 results)