2017 Fiscal Year Research-status Report
朝鮮中近世の水陸交通体系とその利用に関する基礎的研究
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15K02921
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
長森 美信 天理大学, 国際学部, 教授 (50412135)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 朝鮮 / 韓国 / 李朝 / 歴史地理 / 古地図 / 交通 / 船舶 / 舟橋 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、朝鮮交通史研究の基盤整備の一環として、①15~19世紀の朝鮮における水陸交通路、②朝鮮伝統船の特質、③これらの交通路および交通手段を利用したヒトとモノの移動の実態をそれぞれ考究することを目的としている。 本年度は、前年度に引き続き、本研究課題遂行の基礎作業として、韓国および日本国内で、既刊資料を中心に、朝鮮歴史地理関連資料、朝鮮伝統船関連資料の調査を行った。収集した朝鮮歴史地理関連資料および朝鮮伝統船関連資料についてはデータベース化を進めている。同時に、古地図を含む前近代の文献資料にあらわれる地名の収集作業を進行中である。 本年9月には、朝鮮王朝歴代王陵と王都漢城とを結ぶ行幸路について資料調査および現地調査を行った。朝鮮の歴代王は定期的に王陵への行幸(陵幸)を行ったが、漢江以南に存在する7つの王陵への行幸では、漢江を渡る必要があった。現存する朝鮮王陵のうち、漢江以南に位置するのは、宣陵(第9代成宗)、靖陵(第11代中宗)、献陵(第3代太宗)、仁陵(第23代純祖)、健陵(第22代正祖)、隆陵(追尊荘祖)、章陵(追尊元宗)の7カ所である。漢江を渡る方法として一般的なのは船を用いることであったが、陵幸にしたがう多くの人々が、同時にかつ安全に渡江するためには、しばしば浮橋(舟橋)が設置された。当時の一般的な交通路と王の陵幸路とを同列に論じることはできないが、陵幸に関する記録が前近代朝鮮の交通体系の一端を明らかにし得る貴重な資料であることが分かった。 今次現地調査で得られた知見とこれまでに収集した文献資料とを対照しつつ、陵幸路の復元作業を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献資料の収集および調査が概ね順調に進展しているが、予定していた現地調査が十分に実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に引き続き、文献資料の収集および調査を進めるとともに、現地調査を実施する。また、その成果を学会発表、論文等の形で公表する。
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Causes of Carryover |
研究代表者の補助事業以外の業務が想定以上に増加したことによって、平成29年度中に予定した現地調査の一部を実施することができなかったため、次年度使用額が生じた。実施できなかった現地調査は平成30年度に実施する予定である。
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