2016 Fiscal Year Research-status Report
両大戦間期東欧の多民族性と非領域的文化自治―バルト三国を事例として
Project/Area Number |
15K02958
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小森 宏美 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50353454)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 遼 北九州市立大学, 法学部, 准教授 (10546328)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | バルト三国 / エストニア / ラトヴィア / リトアニア / 権威主義体制 / 文化自治 / 両大戦間期 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画の2年目(3年計画)にあたる本年は、昨年同様、国内研究会および現地調査により研究を進めた。国内研究会については、ヴィリニュス大学(リトアニア)のAidukaite Jolanta(アイドゥカイテ・ヨランタ)教授を招き、バルト三国の歴史・社会状況について意見交換を行った(2017年8月1日、於早稲田大学)。同教授とはその後も連絡をとり、研究協力についての議論を続けている。 現地調査については、研究代表者がエストニアでの現地調査(主として文献博物館およびアルヒーフにおける資料収集)を行った。なお、次年度に実施する外国人研究者の招聘ならびにワークショップ(研究会)の準備のために予定していた連携研究者による現地調査は、都合により実施を2017年度に延期したが、電子メール等のやり取りにより、グラスゴー大学のDavid Smith(デイヴィッド・スミス)教授の招聘(2017年11月)が決定している。これにより研究計画通り、最終年度に取りまとめの研究会を実施する予定である。 現時点までの研究により明らかになったことを示すならば、次の通りである。すなわち、バルト三国において程度の差や時期の長短はあれ実現された文化自治については、制度面に限定せず、実態、政党政治との関係、主要関係者の思想などの面から多面的に再検討する必要が認識されている。そうした作業により、国家・民族間関係について、第二次世界大戦後、さらには冷戦後の状況を視野に入れてこの時期を歴史的にとらえ返すことができると考える。特に、本研究では、政治エリートの思想分析に力点を置いている。それは民族政策と権威主義体制が、ときに矛盾するかのように語られるこれらの政治エリートの言動について、その矛盾を解きほぐすことが、この時代の東欧諸国を理解するうえで不可欠であると考えるからである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内研究会ならびに現地調査とも、ほぼ計画通りに実施されている。最終年度に予定している外国人研究者を招聘してのとりまとめの研究会については、準備のための渡英が2016年度には未実施であったが、2017年夏にはこれも実施される予定であり、最終研究会自体は11月に予定されている。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2017年度は、とりまとめの研究会(外国人研究者を招聘してのセミ・クローズドなワークショップ)を行い、議論の整理を行ったうえで、成果報告としての出版計画を具体化する。
|
Causes of Carryover |
最終年度の研究会開催準備のため、連携研究者の渡英による招聘者との打合せを予定していたが、同連携研究者の都合のため、2016年度内の渡英が困難になった。そのため、当該予算の使用を2017年度とした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度の研究会は11月に予定されている。この研究会の事前打合せのため、連携研究者が8月頃に渡英する予定である。
|
Research Products
(7 results)