2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K03002
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
石橋 茂登 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 飛鳥資料館, 室長 (90311216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
降幡 順子 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (60372182)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 金属製品 / 飛鳥時代 / 銅製品 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、奈良文化財研究所が所蔵・保管する金属製品を対象資料の核として、資料集成と観察に基づく考古学的な検討に加え、可能な限りの科学分析を行い、飛鳥時代の金属製品加工技術に関する体系的な解明を目指して基礎的な研究を行うことを目指している。 今年度はおもに以下のような作業を行った。飛鳥資料館所蔵資料のうち飛鳥寺跡出土品、川原寺跡出土品についてリスト作成しつつ整理を行った。川原寺跡出土の銅製品は泥が付着した状態なので、クリーニング作業を行った。飛鳥寺跡出土品は銅製品が多数の破片からなり、出土状況や接合状況の確認が必要な状態であったため、それらの情報整理とともに、可能な個体については図化や写真撮影等を行って考古学的検討の資料化をすすめた。これらの作業のために調査研究アシスタントを雇用した。また、これらの作業は来年度も継続し、メドがたったところで蛍光X線分析などを実施する予定である。今年度に考古学的検討を行った資料のうち、飛鳥寺跡出土の刀子については来年度の『奈良文化財研究所紀要2016』にて報告する予定である。 また、橿原市一町所蔵の押出三尊像、御正体について、写真撮影、計測、蛍光X線分析を実施した。これら資料は時代的には飛鳥時代より新しいが、比較対象として用いることができる。この成果は来年度に飛鳥資料館の図録で報告する予定である。 このほか、飛鳥寺跡出土のガラス玉類は従来未整理であったために調査研究が難しかったが、本研究の過程で金属製品と混在していた状況などを解消し、リスト化して整理したため、ガラス玉類の調査研究も可能となった。飛鳥資料館『飛鳥寺跡出土遺物の研究 ガラス玉類の考古学的研究』(田村朋美、石橋茂登)はその報告であり、本研究における作業の成果を含んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検討対象としている遺物の資料化をすすめることができた。予想よりも整理作業などに時間がかかっているが、おおむね順調と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在作業途中の飛鳥寺跡出土品、川原寺跡出土品については資料の整理と考古学的検討のための図化作業などを実施し、保存科学的分析を実施する。 昨年度実施した押出三尊仏、御正体の調査成果は今年度に飛鳥資料館図録にて公表する予定である。 その他の遺跡出土品については、現時点では当初予定の遺跡を対象として調査をすすめることとしている。 予想以上に作業に時間がかかる場合には、対象遺跡を減らすなどして調整したい。
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Causes of Carryover |
今年度は整理作業に注力したため、出張して調査をするための旅費をほとんど使用していないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降、外部資料の調査を行うための旅費等に使用する。
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Research Products
(1 results)