2016 Fiscal Year Research-status Report
欧州における環境産業の地域社会への影響と支援政策に関する研究
Project/Area Number |
15K03012
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 潤 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (90284562)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 人文地理学 / 地域計画・地域政策 / 環境 / イノベーション / 環境勘定 / 環境財・サービスセクター |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年では対象地域での現地調査を通じて、環境産業の地域社会への影響を明らかにすることを目的とした。この目的を達成するため、28年度には、以下のような研究計画を立てた。まず予備調査で、前年度に対象地域で収集した統計資料を精査した上で、現地調査の調査事項を決定する。つぎに現地調査では、これらに調査項目をもとに対象地域で、環境産業の集積を表す実態や集積による影響と関連した資料・統計も収集する。最後に、現地調査の結果を踏まえて、定量的手法を用いて、環境産業の集積地域環境産業の集積による地域社会への影響を明らかし、結果を学会等で公表する。 上述した研究計画にそって調査をすすめた結果、予備調査で、種々の地域的な社会・経済・政治的な要因が地域社会の環境産業事業者や雇用数に影響することを明らかにし、これらを調査項目として、現地調査で、統計データを収集する必要があることを指摘した。この予備調査の結果をもとに、平成26年8月22日から9月16日に、調査地であるスウェーデンのストックホルム、ヨーテボリ、イギリスのケンブリッジ、ロンドン等で環境産業の立地や関連政策の担当官やこれらを対象とする研究者に対して対面調査を実施するとともに、国際機関や政府統計ではえられない地域別の環境産業事業所数や雇用者数の収集に努めた。最後に調査後の分析では、パネルデータ分析を用いてスウェーデンおける環境政策による地域的な環境関連事業所ならびに雇用への影響を検討した。分析の結果、スウェーデンにおいては、環境技術政策だけでなく,地域の経済状況や政治環境が、地域的な環境関連事業所ならびに雇用へ影響を与えていることを明らかにした。この研究結果の一部を国内の学会で報告した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査や現地調査を通じて、分析に必要な資料を収集できたことと、これらの資料を用いた調査後の分析で、スウェーデンの広域自治体を事例地域として、環境政策ならびにその他の地域的要因による地域的な環境関連事業所ならびに雇用への影響を検討した結果、環境技術政策による地域的な環境関連事業所・雇用への影響を本研究で確認できたことが評価理由である。
|
Strategy for Future Research Activity |
上述したように、28年度には、環境技術政策による環境産業事業者・雇用への影響を明らかにした。次年度では、研究計画書にしたがい、地域的に創造された環境産業を支援する具体的な政策に関して研究を進める。まずは28年度までに収集した資料を参照しつつ、現地調査の調査項目を再検討する。これらの調査項目にもとづく現地調査を通じて、地域的に創造された環境産業を支援する政策を把握したい。
|
Research Products
(2 results)