2018 Fiscal Year Annual Research Report
A cultural anthropological study on U.S. military base redevelopment in Okinawa: the case of Yomitan Village
Project/Area Number |
15K03061
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
原 知章 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (00287947)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 沖縄 / 読谷村 / 跡地利用 / 開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、沖縄本島中部地域における米軍基地跡地開発のプロジェクトの歴史的経緯および現段階における成果と課題を明らかにすることにある。今年度は、読谷村における「読谷補助飛行場」の跡地開発プロジェクトに焦点を当てて調査・研究を実施した。読谷補助飛行場の跡地開発計画は、1980年代から構想されていた。具体的には、跡地の7割を農地とし、残りの3割を公共用地として活用するという計画であった。農地の活用という面に関していえば、近年、基盤整備がおおむね完了して、本格的に生産活動に取り組める段階になった。しかしこの段階に至るまで、そもそもの発端である旧日本軍による土地の接収と沖縄北飛行場の建設から、すでに70年以上もの歳月が経っている。当時を知る旧地主の大半はこの世を去り、今や子の世代の「二世」の旧地主も高齢化しつつある。これら「二世」、あるいは「三世」の旧地主を中心に構成されている旧地主会の構成員数は、現在600名以上にのぼる。読谷補助飛行場の跡地で農業中心の開発を進めるという計画は、旧地主会と行政の間でもたれた幾度にもわたる話し合いを経て策定されたものである。しかし、旧地主会の内部においても、農業中心に開発を進めることに対しては意見の相違が生じてきた。また、現在では、旧地主会の構成員の大半は、農業以外の仕事で生計を立てており、農業中心の開発プロジェクトに積極的に関与している者は、割合的には多いとはいえない。その背景には、気候や地理的条件に由来する、沖縄の農業が直面している厳しい状況もある。読谷補助飛行場の跡地開発プロジェクトは、沖縄における「内発的発展」の可能性を有する取り組みとして注目を集めてきたが、本研究を通じて多くの課題に直面していることが浮き彫りになった。
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