2017 Fiscal Year Annual Research Report
Toward a theory on freedom of speech as objective constitutional norms
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15K03102
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宍戸 常寿 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (20292815)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 憲法 / 表現の自由 / 知る権利 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の3年次に当たる平成29年度は、アメリカの通信法制を中心にコミュニケーションの自由についての比較法的研究を継続しつつ、日本における表現の自由・プライバシーのあり方について研究を深め、これまで得られた知見から、日本における公共空間とコミュニケーションの現代的課題を考察した。 具体的には、報道・取材の自由の憲法的保障の背景をなすジャーナリズムの現代的課題、とりわけプライバシーとの調整について検討するとともに、放送メディアを支える制度的措置としての番組審議会について、関係者へのヒアリングを含む調査研究を進めた。次に、公共放送とそれを財政的に支える受信料制度、インターネット上の情報流通の基盤としての検索エンジン、官民データ利活用の促進の核心をなすオープンデータ施策について検討することを通じて、日本における公共空間の現在と課題について、表現の自由の観点から分析した。さらに、「政治的中立性」を理由としたコミュニケーションの制約、とりわけ公務員の政治的行為、選挙運動及び憲法改正国民投票運動、教育の自由の制限について検討し、むしろ政治の領域の限界づけが必要であることを明らかにした。 本年度も、関連する学会、研究会において本研究に関する報告や質疑に参加したほか、各省庁の研究会、研究分担者として加わっている他の研究プロジェクトも含めて、様々な機会を捉えて情報法に関わる研究者・政府関係者・実務家との情報交換を通じて、有益な示唆を得ることができた。
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