2017 Fiscal Year Annual Research Report
Constitutional Views under the Authoritarian Politics : "Distance" between Chinese Constitution and Modern Constitutionalism
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15K03105
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
石塚 迅 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (00434233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森元 拓 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (50374179)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 比較憲法 / 中国憲法 / 憲法観 / 憲法教育 / 権威主義 / 立憲主義 / 東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1.中国の憲法学者をはじめとする知識人が現行の権威主義的な憲法体制の下でどのような憲法観を構想・提示しているのか、および2.知識人の憲法観の構想・提示が中国の一般市民の憲法観の形成にどのような影響を与えているのか、を比較憲法的視点から理論的・実証的に明らかにすることを目的としている。かかる研究を通じて、中国をはじめとする東アジア諸国の憲法体制と近代立憲主義との「距離」、およびそれが縮まる可能性について考察を深めたいと考えた。 研究最終年度である2017年度は、これまでの資料・データの収集の作業において、不足している部分について作業を継続するとともに、すでに、収集・整理・解読した資料・データ・インタビュー記録等を用いながら、研究成果の発信・公表の準備を進めた。 2017年8月-9月に中国の北京市を、同年11月に台湾の台北市等をそれぞれ訪問し、国家図書館や大学図書館において資料・データの収集を行うとともに、現地の憲法研究者等へのインタビューを実施した。同年6月には、鄭州大学(中国・河南省)で開催された日中公法学シンポジウムに参加し、有益な知見を得た。 研究成果の発信・公表については、「公共圏(公共空間)と中国憲法学―北京・三味書屋の試みに注目して―」、「現代中国における「憲政」と立憲主義」等、積極的に学会・研究会発表を行った。前者は中国の市民的公共圏についての実証的な研究であり、後者は中国の立憲主義についての理論的・制度的な研究である。現在、それら学会・研究会報告をふまえての論稿を複数準備している。 当初の見立てよりも速いスピードで、中国では強固な権威主義体制が確立しつつあり、立憲主義(憲政)実現を求める主張は力を失いつつある。一般大衆はこうした権威主義的な憲法体制を支持している。立憲主義の意義とは何か、という問いが中国から日本を含む西欧諸国に投げかけられている。
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Research Products
(7 results)