2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K03150
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小畑 史子 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (00262494)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | ダイバーシティ・マネジメント / 労働法 / ワーク・ライフ・バランス / 女性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、雇用における多様性を踏まえた経営すなわちダイバーシティ・マネジメントと、労働法の関係を明らかにすることを目的としている。 2016年度は、2015年度に引き続き女性活躍推進法と、職業生活と家庭生活の調和に関する研究を遂行し、特に、重要な判決が続いて出された、妊娠・出産・育児休業取得等により昇進・昇格等において不利益を被ることが、違法な不利益取扱に当たるのかというテーマにつき、論文・評釈をまとめた。定年後に非正規労働者として雇用された労働者の処遇に関する重要判例についての評釈も執筆した。また、「女性活躍推進と労働法」というテーマで、2017年5月に、日本労働法学会においてシンポジウムを主催することとなり、それに向けて、日本経団連でのセミナー等に出席し、企業経営側からみた女性活躍推進につき、情報を収集した。 さらに、職場における女性の活躍が目覚ましいスウェーデンを訪問し、ルンド大学において、3名の教授からヒアリングを行い、イタリアやポルトガル出身の博士課程在籍の学生たちも交えて議論し、日本とスウェーデンの女性がおかれている環境の違いにつき検討した。 また、スウェーデンにおいてはブレグジットに関するセミナーに出席し、今後のEUの労働環境に関する情報を収集した。さらに、スウェーデンでは、先日EU裁判所において出されたイスラム教徒の女性が職場でスカーフをすることに関する二つの判決について、信教の自由と職場の規律という「ダイバーシティ・マネジメントと労働法」に関する重要課題につき、3名の教授とディスカッションを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度、妊娠・出産・育児休業等と職場における不利益取扱、および定年を迎え非正規労働者として雇用された労働者の処遇に関する論文・評釈を複数執筆することができた。また、企業実務に詳しい研究者とともに女性労働者のおかれた環境の実情や企業の経営方針等に関する検討を行う機会を得、それとともに女性活躍につき成果を上げているスウェーデンに出張しその状況につき広く情報収集を行うことができた。これらを来月の学会発表に生かす予定である。また、イスラム教徒の女性のスカーフに関するEUの判決に関する情報を得、信教の自由と労働法に関する研究も深めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は三年目に当たるため、さらに多くの関係者へのヒアリングを実施し、情報を収集するとともに、それらの情報をもとに、テーマに関連する学会発表や研究会を行い、論文をまとめる。
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Causes of Carryover |
この研究に関連してヒアリングを行い、またディスカッションを行いたい国内外の研究者・実務家に、複数、アポイントメントの申し込みを行ったが、会うことを約束できたものの、先方が多忙で当方とのスケジュール調整に困難を極め、実現することができなかった。特に海外の人物の場合、世界各国で講演やレクチャー等を行っている人物も多く、どの時期にどこにいるかの確定を待ってアポイントメントを進める必要があり、実現に至らなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続きアポイントメントをとる努力をするとともに、海外から学者や実務家を招くことも企画しており、その費用にこれまでの未使用額を当てる予定である。現在、こちらから出向くか先方が来日するかは未定であるものの、2017年度中のアポイントメント実現の約束を、既にヨーロッパの複数の研究者・実務家との間で取り付けている。
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Research Products
(4 results)