2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K03161
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
鎌田 耕一 東洋大学, 法学部, 教授 (30204605)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 業務委託 / 個人請負 / 雇用関係 / 労働者性 / 労働者類似 / 契約労働 / 労働市場 / 偽装請負 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、委託型就業者の人口推計と実態調査を行う計画であった。その実績は以下の通りである。 1.委託型就業者の人口推計 平成27年度は、リサーチ会社を用いて、17402人を調査対象にして、委託型就業者のサンプルとして1106人を抽出し、これに対して、詳細なアンケート調査を行った。このデータに基づき、委託型就業者の人口推計を行った。その結果、委託型就業者の推計された人口は、842千人であった。委託型就業者は男性割合が多く、年齢階層は中高年(40歳代以降)の割合が多い。 2.委託型就業者の就業実態 業務内容は、専門職系の割合が高く、次は演芸・クリエーション系。収入の多寡では、①比較的高い業務は「専門職系」、「営業、企画」、「電気、電子、機械」、②比較的低い業務は「事務」「サービス、販売」「運輸、施設管理」で、収入分布が二極化しているもの「ITエンジニア系」がある。取引先は、全体では、1社が31%と高く、次いで10社以上が21.2%であった。取引先の数が多い業務は「専門職系」、「1社」が多い業務は、「事務」「サービス、販売」「運輸、施設管理」であった。仕事の悩みでは、全体では、「仕事の安定的確保」が34%と最も高く、次いで、「報酬額の低さ」30.1%、「仕事の打ち切りや一方的な縮小」が13.5%となっている。 以上の実態調査から、委託型就業者の属性・家族構成、業務内容、収入、仕事の割合、契約実態、仕事の悩み、トラブルなどの傾向が判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度前半において、研究協力者と協議して、委託型就業者のウエブによるアンケート調査をするための調査票を作成した。調査は人口推計を行うためのスクリーニング調査と、スクリーニング調査により抽出したサンプルに対する詳細な調査票による実態調査の2段階で実施した。スクリーニング調査は、10月下旬、抽出したサンプルに対する実際調査は、11月に実施。 この間、リサーチ会社の有するサンプルに対し、スクルーニング調査を実施したが、委託型就業者に該当するサンプルの出現率が予想よりかなり低いことが判明した。委託型就業者の人口は約84万人と推計している。 実態調査では、委託型就業者の属性、業務内容、収入、悩み等を調査した。調査結果から、事業者性が強い者と労働者性が強い者の二極化が進んでいることが判明した。現在、調査データを様々な角度から研究している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度のアンケート調査により、委託型就業者の属性、業務内容、収入、契約実態、悩み、トラブル等の傾向を知ることができた。委託型就業者の実態は、業務内容、収入等により大きく異なるので、今後は、業務ごとにより調査な実態調査を行う計画である。そのためには、主に業務内容ごとにヒヤリングを行う、より詳細なデータを収集する予定である。 調査結果を基に、法的課題を検討する。委託型就業者の法的問題を解決する方策について、今年度中に、本研究の中間的とりまとめを行い、これを研究雑誌等に公表して、様々な意見を聴取することにしている。そこで、今年度10月を目処に、研究成果の中間取りまとめを行う。さらに、平成28年度に日本労働法学会において、本研究テーマについて学会報告を行うよう、学会報告の申請を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本研究は、リサーチ会社に業務委託して、ウエブを用いたアンケート調査を実施している。この業務委託費が当初予算よりも低額であった。また、調査結果を研究協力者を宿泊合宿によりデータ分析する予定であったが、調査データが27年12月中旬に入手したため、宿泊研究会を実施せず、研究代表者の所属する大学で行ったなどの事情により、当初予算よよりも使用額が少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度には、本研究の中間取りまとめを行うため、研究協力者(5名)との宿泊研究会を実施する予定である。そのため、前年度の未使用額を旅費にあてる予定である。
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Research Products
(2 results)