2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K03161
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
鎌田 耕一 東洋大学, 法学部, 教授 (30204605)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 労働者 / 委託型就業者 / 非雇用型就業 / 雇用類似の者 / 役務提供契約 / 請負 / 業務委託 / アウトソーシング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、①昨年度の委託型就業者の実態調査の分析と法的課題の論点整理を行うために、本研究の研究協力者との研究会を3回実施した。第1回は、1泊2日の宿泊研究会、後の2回は、東洋大学で行った。②次に、昨年度の計画に従って、日本労働法学会平成28年度春大会に本研究成果を発表するため学会報告のエントリーを行い、理事会で承認された。題目は、ミニシンポ「委託型就業者の就業実態と法的保護」。報告者は本研究の研究協力者の3人、本研究の研究代表者がコーデイネーター兼司会を担当。③法的論点を掘り下げるため、平成28年度2月に韓国で外国での実地調査と国内の専門家に対するインタビューを行った。この他、国内で、委託型就業者を組織する労働組合にインタビューを行った。 本年度の研究により、以下のような実態認識と法的対応が必要と認識した。まず、委託型就業者の就業実態は多種多様であり、本研究は、それを「専門職型」「自営型」「業務委託型」「フランチャイズ型」「テレワーク型」の五つの類型に分類し、さらに、新たな類型として、クワウドワーカー、ライドシェア・ドライバーを加えている、次に法的対応はこの類型によって異なっているが、概ね、以下の法的対応の必要性を指摘している。(a)委託型就業者の業務災害に対しては、現行の労災保険制度の適用対象に「雇用類似の者」を追加して、災害保険の強制適用を認めるべきであること、その際の保険料は就業者・委託者の折半とすること、(b)委託型就業者の契約については、解約、契約更新拒否に対する規制を検討すべきこと、(c)委託型就業者に対する差別、ハラスメントについては、現在の不法行為責任の他、委託者に対して委託型就業者の就業環境を整備する措置義務を課すべきこと、がそれである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由:①現在、今年5月28日の学会報告に向けてレジュメを作成し、3月に学会に提出した。現在、学会向けのプレ報告を首都圏の大学研究会で順次行っている。 ②韓国では、委託型就業者にあたる特殊形態勤労従事者について韓国雇用労働部、韓国勤労福祉公団(政府関係)、韓国非正規労働センター代表、韓国非正規労組連帯会議・議長(労働組合)、韓国経営者総協会、韓国憲法裁判所研究員の6カ所にインタビューを行い、とくに、特殊形態勤労従事者の労災保険制度の法律と実態を調査した。
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Strategy for Future Research Activity |
①本年5月の労働法学会ミニシンポでは、(a)在宅就業者の法的保護、(b)委託型就業者の業務災害補償、(c)委託型就業者の差別とハラスメントの救済の三つのテーマについて報告し、これについて、学会員と討論を行う予定である。 ②学会での報告後は、日本労働法学会誌に報告内容及び討議内容を掲載する予定である。 ③平成29年度は最終年度となるので、研究の最終的な成果をなんらかの形で公開する予定である。
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Causes of Carryover |
前年度の繰越額が456839円あったために、平成28年度はかなり予算が多額であった。平成28年度は韓国で現地調査を行ったが、予定した者が一人参加できず、その分が未消化となった。また、宿泊研究会を3回予定していたが、研究協力者の都合で、1回だけ宿泊研究会を行い、残り2回は研究代表者の大学で実施したために、国内旅費の支出が多くなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、日本労働法学会で本研究の研究協力者が3名と代表者が報告を行う。学会の開催場所は京都の龍谷大学であるので、報告者及び他の研究協力者1名の交通費、宿泊費を科研費で支出する予定である。その他、平成29年度においても海外及び国内での調査を予定している。また、平成29年度で最終年度であるので、研究成果を冊子にまとめることを予定している。
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Research Products
(2 results)