2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K03197
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
常岡 史子 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 教授 (50299145)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 夫婦財産制 / 財産分与 / 相続法改正 / 居住用不動産 / 配偶者相続権 / ドイツ法 / アメリカ法 / ヨーロッパ家族法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2009年に民法改正委員会家族法作業部会報告の中で提言された法定財産制(民法762条)の変更、夫婦財産制を婚姻解消時における財産関係の清算と連動させる後得財産分配制の採用、及び居住用不動産の処分制限規定(別産制のもとで所有者たる配偶者が婚姻住居を処分する際に他方配偶者の同意を要求する)の導入について、その具体的課題及び法制化に際しての問題点を検討した。そのための基礎的作業として、「法制審議会民法部会小委員会における仮決定及び留保事項(その一)」以降の議論に着目しながら、この問題に関する立法提案と議論の推移を学説と判例に基づき検証した。また、上記民法改正委員会家族法作業部会報告の後得財産分配制の分析にあたり、必要なドイツ法の調査を目的としてマックスプランク・ヨーロッパ法史研究所(フランクフルト・ゲーテ大学)において平成28年2月19日から同年3月4日まで在外研究を行い、資料の収集と検証を実施した。さらに同研究所における共同研究プロジェクト「19世紀におけるドイツと日本の法発展」に関する研究会(平成28年2月24日)に参加し、日本法の形成におけるドイツの影響について知見を得た。平成27年度の研究成果については、(1)横浜弁護士会会員研修会(題目「遺産分割の問題点―「破棄」判例を中心に―」平成27年12月7日午後5時~午後7時、横浜弁護士会館)、(2)横浜弁護士会・民法(相続法)改正講座(題目「民法(相続法)改正」平成28年3月14日午後3時~午後5時 横浜弁護士会館)、(3)民法学研究会(題目「近時の財産分与事情」平成28年3月26日、同志社大学)で報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、わが国の夫婦財産関係法について離婚の法的効果である財産分与及び相続における配偶者の権利を中心に近時の重要諸判例に関する網羅的な分析を行った。その成果は、上述(1)横浜弁護士会会員研修会及び(2)横浜弁護士会・民法(相続法)改正講座で発表し、弁護士ら法曹実務家を中心に意見交換を行う機会を得た。 また、離婚と配偶者の経済的地位に関するアメリカの議論を検討し、CYNTHIA LEE STARNES, THE MARRIAGE BUYOUT: THE TROUBLED TRAJECTORY OF U.S. ALIMONY LAW(New York University Press, 2014)等をもとに婚姻におけるパートナーシップ理論について考察した。その成果の一部は、アメリカ法2015-2号において公表することとなっている。 在外研究についても、フランクフルトのマックスプランク・ヨーロッパ法史研究所を拠点として、ドイツ民法典の成立過程における各ラントの夫婦財産法の状況及び現代的課題としてのヨーロッパ家族法の動向に関する調査と資料収集を行った。また、同研究所の研究員を中心にドイツにおける夫婦財産関係法の現状とドイツ相続法形成の歴史について助言を得ることができた。その成果は、上述(3)民法学研究会での報告とそれに基づく検討等をもとに、論文として公表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、法制審議会民法(相続関係)部会で進められている相続法改正の動向を分析し、相続財産として共同相続人の遺産共有に帰すると考えられてきた婚姻住居に現行民法のもとでいかなる配偶者居住権を認めることができるか、またそもそも相続における配偶者の法的地位をいかに構成すべきかにつき、法理上の根拠を含め検討を進める。 また、ドイツの夫婦財産法に関する検証を進展させるとともに、アメリカ法の夫婦財産関係に関する調査研究を行う。アメリカの別産制州と共有制州における離婚・死亡時の婚姻財産の法的処理を分析し、選択的相続分や家産手当、家族手当に関する法制の異同、生涯財産権(life estate)等相続法外の財産承継制度についても検討する。 研究の実効性を上げることを目的としてドイツにおいて再度研究調査を行うとともに、アメリカでも短期間の在外研究を行い、上記の検討に必要な資料を調査・収集する。ドイツ、アメリカともに手続法の側面からも婚姻財産の処理の実態を把握することをねらいとして、両国の家庭裁判所及び遺産裁判所・検認裁判所における実態調査を行うことを予定している。調査の拠点として、ドイツではフランクフルト及びハンブルクのマックスプランク研究所、アメリカではカリフォルニア大学バークレー校等を念頭に置いている。
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Research Products
(1 results)