2015 Fiscal Year Research-status Report
境界の交錯性に関する多面的解明-開発の視点を含んだ横断的アプローチ
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15K03314
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
椛島 洋美 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 教授 (20336043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 一郎 横浜国立大学, その他の研究科, 教授 (00361874)
小ヶ谷 千穂 フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (00401688)
小池 治 横浜国立大学, その他の研究科, 教授 (10241738)
金丸 裕志 和洋女子大学, その他部局等, 教授 (10346752)
加藤 雅俊 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (10543514)
掛江 朋子 横浜国立大学, その他の研究科, 准教授 (30728019)
小林 誉明 横浜国立大学, その他の研究科, 准教授 (00384165)
藤掛 洋子 横浜国立大学, その他の研究科, 教授 (70385128)
柳 赫秀 横浜国立大学, その他の研究科, 教授 (90220516)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 境界の認識 / ナショナルとトランスナショナルの往復性 / 非地理性の交錯 |
Outline of Annual Research Achievements |
境界と開発の問題に関わる論点について、研究代表者及び各研究分担者は個々の専門ディシプリンに基づいて考察してきた。 1 人間の安全保障、平和構築、政治体制という切り口から国際開発を検討したシンポジウムにおいては、今日における国家の役割の再定義と発見という見方の重要性が指摘されるとともに、国家という概念によって境界が発生する意味を問うた。 2 境界研究の現状と展望に関する研究会では、地理的境界がすでに指定されている以上に存在すること、アクターの存在位置によっての境界の違いが出てくること、地理的境界と非地理的境界の重なりと矛盾が存在すること、についての言及があった。 3 無国籍から境界を考える研究会では、政治的機能によって難民と無国籍者の間に線引きがされ、冷戦中は難民を重要な存在としていたものの、冷戦終結以降難民の政治的価値がなくなることによって、無国籍者が拡大し、人道的救済がされにくい状況を作ってきていることが指摘された。 4 近年注目されているFTAは経済問題を中心とするナショナルとトランスナショナルの往復、交錯状況と言える。TPPでの各国の動きは境界に隔てられた個別の行為のようでありつつも、TPPという組織的要素の強い協働的な行為として位置付けられる。TPPとして独自の財源や内部組織もない政府間主義の形をとるが、TPPのそのような理念の実在形態は超国家性を持っていると言える。まさに国家とTPPの存在の微妙さがここに発見できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
個々の研究のほか、学外から関連問題に精通した研究者を招聘し、研究を遂行することができた。一部、研究が滞っている研究分担者もいる。 また、海外調査においても現地と研究課題の都合上、調査国を変更せざるを得なかったが、実質的な内容と方法においては問題ない。
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Strategy for Future Research Activity |
個々の研究分担者とともに各方面の実証分析を進めるべく、研究会を定期的に開催する。従来の研究では意識されてこなかった部分の検討を進めるため、関連する学外の研究者を研究会等へ招聘して知見を得る。
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Causes of Carryover |
平成27年度は全学レベルでの役職と部局レベルでの役職の2つを担うことになったため、資料購入等が滞った。また、申請時の請求金額よりも減額されていたために、予定より切り詰めたが、切り詰めすぎた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、前年度に購入予定だった資料の購入を進め研究を展開する。また、本研究の成果を世界政治学会で報告するため、研究代表者のほか研究分担者を1名派遣する。
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