2015 Fiscal Year Research-status Report
適応的学習における期待の異質性とマクロ経済の安定性に関する研究
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15K03372
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
中川 竜一 関西大学, 経済学部, 教授 (60309614)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 適応的学習 / 期待の異質性 / 均衡の安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、人々が適応的学習によって期待形成するとき、マクロ経済の安定性および金融政策の有効性がどのような影響を受けるかを明らかにすることである。平成27年度は、交付申請書「研究の目的 テーマⅠ」(異質性の存在しない適応的学習におけるマクロ経済均衡の安定性)について分析すると同時に、関連研究の研究成果を国内外に発表することに取り組んだ。 具体的には、第1に、異質性の存在しない適応的学習におけるマクロ経済均衡の安定性を明らかにした。具体的には、Evans, McGough (2005) の単変量マクロ経済モデルをベースとして、様々な学習形態(学習速度の高低、情報量の多寡など)におけるサンスポット均衡の安定性を明らかにした。第2に、関連研究として、Nakagawa(2010)モデルを標準的な多変量マクロ経済モデルに拡張し、異質の適応的学習におけるファンダメンタル均衡の定性的性質を明らかにした。そして、学習の異質性が高まるにつれてファンダメンタル均衡の安定性が高まることを明らかにした。 それぞれの研究成果を国際経済学会(Western Economic Assocation Internationl, Royal Economic Society)において発表し、後者の研究に関する論文は、国際経済雑誌(Journal of Economic Dynamics and Control、査読付き)に公刊された(Nakagawa, 2015)。さらに、アメリカ経済学会に出席し、外国研究者の最新の研究成果を確認した。これらの活動を通じて、研究方法を再検討すると同時に、外国研究者と直接的に交流し、将来の共同研究について打ち合わせすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、当初の計画通り、「研究の目的 テーマⅠ」(異質性の存在しない適応的学習におけるマクロ経済均衡の安定性)についての研究論文の執筆、国際経済学会での発表をおこなった。そのため、「研究の目的」の達成はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度では、平成27年度で分析したモデルに異質の適応的学習を導入し、学習の異質性がそれぞれの均衡の安定性にどのような影響を与えるかを明らかにする(「研究の目的 テーマⅡ」に相当)。学習の異質性のあり方はNakagawa(2015)モデルをベースとする。
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