2017 Fiscal Year Annual Research Report
Incomplete market structure with model uncertainty
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15K03546
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
吉川 大介 北海学園大学, 経営学部, 准教授 (90735424)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 不確実性 / 条件付き請求権 / 市場の摩擦 / モデル・リスク |
Outline of Annual Research Achievements |
派生証券市場に関する過年度までの研究により、金融資産の将来の分布について十分な情報をもたないまま特にリスクに引き当てをおかない投資家はその効用関数がInada条件を満たす一般の凹関数を持ちさえすれば市場に参加しないことが明らかになった。こうした成果は"On the market structure with random endowments in models with uncertainty"としてまとめ、現在は学術誌に投稿中である。 2017年度はこうした派生証券市場の構造に関する研究を進めるとともに、原資産市場の研究にも注力した。 一つは原資産市場の摩擦に関する研究である。これは投資家とマーケット・メーカーが存在する市場構造を考えるものである。すなわち、マーケット・メーカーの収益源を取引費用とし、投資家もマーケット・メーカーも最適な行動をとるとき最適な取引費用がどのような水準になるかを考察することで原資産市場の構造を明らかにした。こうした研究により原資産のボラティリティや収益率などの変動によって最適な取引費用も変動するのだが、マーケット・メーカーの収益は比較的安定することが観察されるなど興味深い結果が得られた。この研究の成果は"A note on market structure with transaction costs"として2018年6月から7月にかけてポルトガルで開催されるIFABS2018コンファレンスで公表予定である。 また、情報の不完全な中での投資家の行動の研究の応用として、(派生証券ではなく)原資産の運用手法の研究も行った。特に原資産の従う確率分布が不確実な中で最適なペアーズ・トレーディングの手法を導出した。この研究成果は"An entropic approach for pair trading"おしてEntropy誌に掲載された。
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Research Products
(2 results)