2015 Fiscal Year Research-status Report
20世紀前半日本での土地改良事業の地域内網羅的データベース作成による国際比較分析
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15K03589
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
勘坂 純市 創価大学, 経済学部, 教授 (20267488)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 土地改良事業 / 耕地の交換分合 |
Outline of Annual Research Achievements |
20世紀前半の土地改良事業の地域内網羅的データベース作成による国際比較分析を進めるために、平成27年度は、主に以下の3つの作業を行った。 (1)富山県の土地改良事業の資料調査および分析 高岡市立図書館に所蔵されている富山県内務部 (1918,1920,1928,1933,1938)『耕地整理並開墾要覧』、および『富山県農会報』を調査し必要箇所を写真撮影し、データ分析作成の準備を進めた。 (2)近代の土地改良事業の前史として重要な、近世の土地改良事業について、以下の2つの国際学会で発表した。(i) 報告論題 The Development of Civil Engineering Projects and the Change of Kokudaka in Tokugawa Japan 学会World Economic History Conference(8月、京都)、(ii) 報告論題 The Development of Civil Engineering Projects and Village-Communities in Tokugawa Japan 学会11th European Historical Economics Society Conference 2015(9月、イタリア・ピサ)。近世の土地改良事業の担い手としての地域社会、村落共同体の意義を明らかにした。 (3)日本各地の土地改良事業についての同時代文献の整理をおこなった。その結果、各耕地の小作料の不平等が、耕地の交換分合を妨げていた大きな要因の一つであることが明らかになった。この点は、戦前・戦中には強調されていた視点だが、戦後の研究史では十分に注目されていない。今後は、小作料の改訂作業と土地改良事業に与えた影響にまで視野を広げて分析を進めていかなくてはならないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展しているが、土地改良事業のデータベース作成が当初の予定より遅れている。これは、想定していたよりデータの構造が複雑であり、データベースの構造を考え直す必要が生じたからである。また、前史として重要な近世の土地改良事業についての分析に当初の予定より時間がかかってしまった。しかし、近代の土地改良事業の前段階を詳細に分析できたのは、今後の本研究の進展に大きく資すると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、富山県・石川県の土地改良事業のデータベースの作成・分析を進めていく。また、当初は十分に想定してなかったが、土地改良事業の進展にとって小作料改訂過程の分析が決定的に重要であることを明らかになったので、この点を含めて今後は分析を進めて行きたい。
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Causes of Carryover |
支出金額に端数が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費として使用する。
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Research Products
(2 results)