2016 Fiscal Year Research-status Report
公平な組織マネジメントに関する日タイ企業の国際比較研究
Project/Area Number |
15K03665
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
加納 郁也 兵庫県立大学, 経営学部, 准教授 (40382254)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 勝規 大阪市立大学, 大学院創造都市研究科, 准教授 (10708085)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 組織的公正 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本とタイの労働者の公平感をめぐる認知の相違を明らかにすることによって、アメリカを中心に展開されてきた組織的公正理論の実践への応用性を高めることである。歴史的に日本との繋がりが深く、東南アジアで最も早くから日系企業が進出したタイにおいて、日本人の公平感との相違を知ることは、在タイ日系企業の人的資源管理の実践上、大きな意義を持っている。本研究においては、組織行動論、社会心理学、労働経済学等の近接他分野、他領域における知見を踏まえた理論的考察を行ったうえで、在タイ日系企業、タイ現地企業へのインタビューを中心とした定性的調査および大量サンプルによる定量的調査を実施し、これらの調査において収集されたデータを詳細に分析することによって、日本とタイの労働者がそれぞれどのような基準で公正を判断しているのかを明らかにしたい。 昨年度は、在タイ企業の実際の人的資源管理制度、とりわけ評価・報酬制度に関する一次データ収集の必要性から、在タイ日系企業を数社訪問し、調査対象先となる数社の経営者および各社の従業員にもインタビューを行った。これをもとに設計した調査デザインに基づいて、本研究の目的に合致した調査票を作成した。また、タイのラッタナバンディット大学のチャムニアン博士を訪問し、本研究の目的および概要を説明したうえで、タイ語に翻訳した調査票を確認していただき、タイ人労働者に通じにくい表現などの修正点を多数挙げていただいた。今年度は研究実施計画に基づいて、当初の計画どおり、修正後の調査票を用いて、パイロット調査を実施した。本パイロット調査をもとに、調査票の再検討を行い、本格的な調査の実施を目指して調査票の準備を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究計画に従って、おおむね予定どおりに進んでいる。 本研究は、本研究は、2名の研究者が3年間の計画で行う予定であるが、今期はその第2期にあたる。今期は、第1期で実施した文献研究およびインタビュー調査による定性的データの収集、分析枠組みの設定をもとにパイロット調査を実施し、調査票の修正を中心に行う計画となっていた。 そこで、第1期において二次データとして収集した文献や資料およびインタビューによって収集した一次データをもとに、今期は本研究の目的に合致した調査票を作成した。また、パイロット調査については、計画当初から予定していた協力者によって、適切な対象先を選定することができ、実施することができた。研究実績の概要でも述べたとおり、第1期において、タイ人研究者にタイ語に翻訳した調査票を確認していただき、タイ人労働者に通じにくい表現などの修正点を多数挙げていただいたにもかかわらず、パイロット調査後に調査実施に係る多数の課題が発生し、最終年度における本格的な調査に向けて、日本語版調査票およびタイ語版調査票の双方について、調査票の見た目や表現を中心に、修正を行っているところである。交付申請書に記載した当該研究の目的の達成度については、第2期中に回答済み調査票を回収する予定としていた当初計画より若干の遅れがみられるものの、十分にリカバーできる程度のものであり、おおむね順調に進展していると評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今期は、分析モデルの修正も含めた本調査(定量的調査)への準備、調査の実施、分析および追跡調査を中心に行う予定である。 すでにいくつか予定している調査候補企業のなかから調査対象企業を決定し、調査票を配布・回収する。在タイ日系企業・タイ現地企業における調査票の配布・回収については、調査対象企業より研究代表者もしくは研究分担者が赴いて実施することを求められており、その際には申請した海外旅費を利用する予定である。調査票回収後は、統計的処理が可能となるように加工し、データ入力を行う。データ入力の補助者については申請した謝金を利用する。その後、市販の統計パッケージソフトを購入し、統計分析を行う。また分析結果に基づく考察の際に、在タイ日系企業、タイ現地企業を中心に追跡調査を行う必要があり、その際には申請した旅費を利用する予定である。 一方、日本企業の調査対象であるが、タイはもちろんのこと、世界45か国に進出している日系大企業や今後海外進出を検討している中小企業など、いくつかの候補先を訪問し、本研究調査の実施を打診中しているところである。これらの日本企業のいずれも関西圏に本社をおいていないことから、申請した国内旅費を利用して、打ち合わせおよび調整のために各企業を訪問したい。 以上のような計画で研究を進めることとしており、今年度中に分析を終え、次年度に報告できるところまで進める予定である。
|
Causes of Carryover |
本来、前年度の第2期に支出しておくべき調査票の発送料や通信費、入力補助者への人件費等が調査票確定の遅れから次年度にずれこんでしまったため、これを次年度に執行する。また、研究代表者が調査対象先との打ち合わせのために渡航した際の海外旅費の執行を所属機関から配分される個人研究費で賄ったため、当初設定していた研究費について、海外出張1回分の次年度使用額が発生することとなった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の研究の推進方策でも述べたとおり、調査の実施に際しては研究代表者、研究分担者または双方が調査対象企業に赴かなければならない場面が想定され、今年度は申請時の予定よりも海外出張が数回多くなることが予想され、海外旅費が嵩むことから、発生した次年度使用額を今年度の海外渡航時の旅費の使用に充てる。
|