2019 Fiscal Year Annual Research Report
The impact of knowledge networks and strategic decision-making on innovation
Project/Area Number |
15K03684
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
中内 基博 青山学院大学, 経営学部, 准教授 (20339732)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 知識移転 / イノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は最終年度であるため、ミクロ研究とマクロ研究の両面から実施した。ミクロ研究としては、新たに質問票を配布したB社のデータをもとに、チームメンバー間での交流や知識移転の程度(TMX)と各種パフォーマンスの関係性に着目した実証研究を行った。その結果、TMXは、イノベーション活動を高めるだけでなく、組織市民行動(OCB)や職務成績も高めることが分かった一方で、TMXが高すぎるとむしろそれらの効果を減じることが見出された。本論文は、Academy of Management学会において採択され2020年の8月に学会報告することになっている。 また、特許データをつかった分析として、特許データをもとに、個人間のネットワーク構造に着目して、イノベーション活動にどのようなインパクトを与えるのか、実証分析を行った。ネットワーク構造としては、中心性と構造的空隙の変数を作成して解析した。本論文は、2020年6月の組織学会にて報告することになっている。 さらには、ミクロ研究とマクロ研究の融合として、エレクトロニクス企業であるA社における質問票及びヒアリング調査をもとに、イノベーティブな製品Xの企画から上市までのプロセスを分析した。同製品は、同社にとって全く新しい分野の商品であり、破壊的イノベーションに位置づけられるものであった。本調査により、先行研究で言われる組織の独立性に加えて、個人間のインフォーマル・ネットワークによって、技術的な課題を克服し、また協力を取り付けることが成功のカギとなっていることが分かった。また同時に、そのプロジェクトを支援するトップ・マネジメントの深いかかわりとサポートが、プロジェクトの組織内での生存を確保し、リソースを獲得するうえで、必須となっていることが浮き彫りとなった。本研究は、調査報告書としてまとめ上げており、論文として海外ジャーナルに投稿済みである。
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