2016 Fiscal Year Research-status Report
滞日ムスリムの生活世界の変容とムスリム・コミュニティの持続的発展
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15K03886
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
店田 廣文 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (20197502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡井 宏文 早稲田大学, 人間科学学術院, 助手 (10704843)
小島 宏 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (90344241)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 滞日ムスリム / モスク / イスラーム / 生活世界 / 移民 / コミュニティ / エスニシティ / 国際社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年から2016年にかけて、ヨーロッパでのテロ事件、またバングラデシュでの日本人が犠牲になったテロ事件などが頻発し、滞日ムスリムの意識調査を実施する環境としては最悪の状況となった。このため、調査の企画を練り直し、モスクが所在する自治体を対象とするアンケート調査を実施すること、および、イスラーム団体の活動が活性化している現状があることから、それらの団体を対象とするインタビュー調査や参与観察的な調査をおこなうこととして、調査研究を実施した。
前者については、愛知県の新安城モスクが所在する安城市の市役所におけるインタビュー調査を実施した。このモスクはイスラム団体の主要活動拠点であり、多くのムスリムが往来する中部地方の拠点であるが、ムスリムが行政の関心対象としては、十分把握されておらず、ほぼ接触がないことが明らかになった。また宮崎市を訪問し、当地の多文化共生政策やムスリムと行政との交流の現状について、インタビュー調査をおこなった。宮崎市でもムスリムの存在は、認知しているが、主たる政策の対象としてはあがっていない状況が明らかであった。日本各地のモスク所在自治体の状況もほぼ同様と思われる。後者については、東京都のお花茶屋モスク・蒲田モスク・大塚モスク、埼玉県の一ノ割モスク、群馬県の境町モスクと関係先のダールッサラーム学院・オリーブ学院などにおいて、インタビュー調査を実施し、タブリーギー・ジャマアートの活動が活発におこなわれていることが確認できた。
欧州評議会の「インターカルチュラル・シティ」のセミナー「Tackling prejudice and engaging with religious minorities」に、岡井助手が出席し、日本のムスリム社会と偏見や差別、多文化共生の現状について報告し、意見交換した。また中国の寧夏大学でも店田が研究発表をおこない、意見交換した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
滞日ムスリムの生活世界に関するアンケート調査の実施を主たる目的として来たが、2015年から2016年にかけて、ヨーロッパでのテロ事件、またバングラデシュでの日本人が犠牲になったテロ事件などが頻発し、滞日ムスリムの意識調査を実施する環境としては最悪の状況となった。 このため、調査の企画を練り直し、モスクが所在する自治体を対象とする外国人政策、とりわけ多文化共生政策に焦点を絞って、その策定状況やムスリムを対象とする政策の有無や課題について、アンケート調査を実施する方向に転換することとした。 もう一方では、近年、イスラーム団体の活動が活性化している現状があることから、それらの団体を対象とするインタビュー調査や参与観察的な調査をおこなうことと企画するなど、以上のように、調査研究の方針を変更したことが主な理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
調査研究の方針変更にともない、モスク所在自治体のうち、いくつかを抽出して、行政の多文化共生政策やムスリムとの交流の現状を,インタビューすると同時に、郵送調査によって、モスクが所在するすべての自治体を対象として、各自治体の政策の現状と課題、ムスリムやモスクの認知や接触交流の現状と課題について、アンケート調査を実施する予定である。 この調査とは別に、イスラム団体、とりわけタブリーギー・ジャマアートの構造や活動の現状と課題について、主にインタビュー調査を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
各地のモスク調査や、イスラム団体の調査を実施してきたが、予定していた東日本のモスク調査や地方自治体調査が実施できなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、地方自治体の多文化共生政策に関する調査のため、いくつかの地方自治体のインタビュー調査をおこなう。このための国内旅費として使用する予定である。
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Research Products
(8 results)