2016 Fiscal Year Research-status Report
自治体福祉政策のガバナンス:障害福祉計画の目標値・実績値の自治体間比較分析
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15K03925
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
新井 利民 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (00336497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝日 雅也 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (30315717)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地域差 / ガバナンス / 障害福祉 / 行政計画 / 目標値 / 地域移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
全国の人口5万人以上の自治体560ヵ所中、Webサイトや資料請求により546自治体の障害福祉計画を入手した。そのうち、策定年度である平成26年度当初(平成25年度末現在も含む)の3障害の障害者手帳所持者数・平成25年度末現在の施設入所者数・平成29年度末の地域移行者数目標値が明記されている自治体を選択したところ、478自治体となった。478自治体の平均的な姿は、人口201,095人、障害者数10,142人、手帳所持者の人口に占める割合は5.13%である。このうち180人が入所施設を利用している(手帳所持者全体に占める割合は2.06%)。地域移行の計画目標値は21人、移行率は11.75%であり、国の策定指針に示された目標値である12%に近い数値となっていた。 しかし、地域ごとの特徴が様々あることが明らかになった。人口に占める手帳所持者数の割合は、北海道釧路市で9.4%となっており、和歌山県海南市、熊本県山鹿市、宮崎県日南市、福岡県大牟田市、福岡県田川市などで8%以上であった。障害者数に占める施設入所者の比率が高い自治体は、千葉県旭市が16%と突出して高く、次いで高いのが熊本県天草市、秋田県湯沢市、石川県七尾市、茨城県鉾田市、秋田県大館市、青森県むつ市などであり4%台となっている。 平成29年度末の地域移行者数目標値が高かったのは、岡山県総社市、兵庫県西宮市、茨城県結城市、大阪府高槻市、愛知県日進市で平成25年度末の入所者の4割を超える者を地域移行させることが明記されていた。福祉施設利用者のうち一般就労への移行者数の目標値もばらつきが多かった。今後は、上記のような施設入所者の地域移行、障害福祉サービス利用者の一般就労への移行に関して、高い数値を示している自治体と、低い数値を示している自治体について、社会経済的要因や地域自立支援協議会等のネットワークの要因について明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
障害福祉計画や障害者数などのデータの入手・入力作業が予想よりもはるかに時間がかかり、平成28年度内に目標としていた分析作業が十分できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
データ分析の基盤が整ったことから、統計分析を早急に行い、事例研究を行うターゲットとなる自治体を定め、質的データの収集と分析を行って行きたい。
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Causes of Carryover |
海外における学会発表を予定していたが、研究の進捗が遅れたため、実施できなかった。また同様に進捗が遅れたため事例研究のための対象となる自治体の決定ができず、旅費の執行ができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
事例研究を行うための対象となる自治体は選定しつつあり、すでに予定もたてている。また、9月に開催される海外の学会に参加予定である。以上により、十分執行することが可能である。
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Research Products
(3 results)