2015 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の生活の質を維持・向上させる自動的心理プロセスに基づいた認知習慣の研究
Project/Area Number |
15K03945
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Research Institution | Aomori University |
Principal Investigator |
渋谷 泰秀 青森大学, 社会学部, 教授 (40226189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 諭 秋田県立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40240486)
小久保 温 青森大学, ソフトウェア情報学部, 准教授 (50295953)
吉村 治正 奈良大学, 社会学部, 教授 (60326626)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 認知習慣 / 高齢者 / 自動的心理プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高齢者の認知能力の低下を補う認知習慣を明らかにし、高齢者の生活の質を維持・向上させるために必要な方略を提供することである。この目的は、中年・高齢層を対象とした社会調査データに基づき、認知習慣と生活の質との関連性の実証モデルを構築し、生活の質の維持・向上に有効な認知習慣が効果を発揮する仕組みを分析することで達成する計画である。 平成27年度には、生活の質及び認知習慣・認知能力・未来展望・自己効力・意思決定方略を測定する調査票の構築を行う(郵送及びWeb調査用)。本研究における認知習慣とは、例えば、「必要な事項をメモしてそのメモを読む習慣、日記をつける習慣、テレビ・ラジオの番組を理解しようとする習慣、自分が判らないことに関して自分から質問をする習慣」などのこととし、平成27年度の文献協商及び介護専門家などに対するインタビューに基づき、重要な行動タスクの選別、行動の最適化、達成困難な行動タスクの補償などの認知的対応の習慣化による方略を主な研究対象とした。 調査票は、当初の計画に基づき、生活の質、認知能力、未来展望、自己効力、意思決定方略、の他に認知習慣として行動の選別方略、最適化方略、補償方略に関する尺度を盛り込み、青森県及び奈良県の高齢者施設で就労している福祉専門職員などにインタビューや先行研究などの文献考証も参考とし、研究分担者との研究会での議論をとおして完成させた。この調査票は、下記の①から③に関する情報をおよそ提供できるように構成されている。①高齢者の生活の質を維持・向上させる認知的習慣を複数同定し、その認知的習慣が効果を発揮するコンテキストとの関連性を明らかにする。②高齢者の認知習慣と生活の質、幸福感、自己効力、情動的加齢、及び意思決定方略などとの関連性を説明する。③生活の質の維持・向上に役立つ認知習慣獲得のために必要な方略を提供する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に予定されたいた調査票の構築は完了している。分担研究者との研究会においては、それぞれの分担に基づき文献考証等を行い調査票の構築に関する議論をすることができた。現在は、本調査に向けて、サンプリングの準備及び倫理委員会における調査票使用の承諾を得るプロセスに入っている。 サンプリングを予定していた奈良県におけるサンプリンがが困難であることが明らかとなったため、候補を北海道、秋田県、岩手県のいずれかから選択する予定となったが、本研究は社会調査において特定地区の特徴などを調査することを目的としていないため、大きな問題とはならないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究計画に従い研究の実施を推進する予定である。既に記載したことであるが、青森県の他にサンプルする予定であった奈良県におけるサンプルが困難であるため、他地域でのサンプリングを行う予定とした。 過去の経験等から、本研究の推進に大きな障害となる要因は、今のところ見当たらないが、調査の回収集が極端に少なかった場合などには、回収の催促、追加調査を行うなどの方策で対処する予定である。
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Causes of Carryover |
コンピュータなどの機材を購入する予定であったが、本調査が平成28年度にあることから、明らかに平成28年度のコンピュータを購入した方が同一性能のコンピュータを安価に購入できるため、機材などの購入を急がなかった。 また、分担研究者が一堂に集まる研究会を東京で行う予定であったが、分担研究者の1名が怪我のため青森市から動くことができなかったため、研究会を青森で開催する必要があった。その為、青森ベースの研究者の旅費を使用しなかったこと、更に、奈良の研究分担者が青森の研究会に参加する際に、他の事由で既に青森に来ていたため、当該科研の旅費を使用する必要がなかった。以上の事由などで次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究費の使用は、基本的に研究計画通りに行うが、次年度使用額が生じている為、必要な機材などの費用以外の研究費は、基本的に社会調査のサンプル数の増加分として使用する予定である。当初の計画では、サンプル数は400であったが、それ以上のサンプル数を見込むことができる状況である。
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