2016 Fiscal Year Research-status Report
サステイナブルな地域社会を形成するための生活困窮者支援総合相談機能の開発的研究
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15K03984
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Research Institution | Hanazono University |
Principal Investigator |
川島 ゆり子 花園大学, 社会福祉学部, 教授 (50507142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉永 純 花園大学, 社会福祉学部, 教授 (70434686)
新崎 国広 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (10362740)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 子どもの貧困 / 学習支援 / コーディネーション機能 / 生活困窮者自立支援 / コミュ二ティワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度に実施した、学習支援モデル事業担当者に対するインタビュー調査の結果から、学習支援現場でのソーシャルワーク実践の実態を明らかにする調査項目を抽出し、京都市において学習支援事業担当者、ボランティア、利用者および生活保護ケースワーカーを対象とした質問紙調査を実施した。 本来であれば28年度は事業担当者へのパイロットスタディに基づき、さらに質的調査を深める研究計画であったが、28年度に京都市の子どもの貧困にかかる大規模調査が実施されたことを受け、京都市における学習支援実態の全体像をまず把握するということを目的に、量的調査から先に実施するよう研究計画の変更を行った。調査では、支援者調査として、学習支援事業受託先であるNPO法人のコーディネーター、学習支援ボランティアおよび生活保護ケースワーカー、利用者調査として学習支援利用者を対象に調査を実施した。利用者が学習支援の場に参加することによって、安心感、自己肯定感を高めているという学習支援現場の意義や、ボランティアと利用者(子ども)との間に育まれる相互関係など、単に学力向上を求めるにとどまらず、子どもたちの自己肯定感、安心感が学習効果に結びつく可能性を、量的な調査結果から実証的に明らかにすることができた。また、学習支援の場に対する課題、要望については多様な意見を抽出することができた。 一方、生活保護ケースワーカーに対する調査において、学習支援の場の認知度は浸透しているものの、実際にケースを学習支援の場につなぐという実践にはまだ結びついていないという現状も明らかになった。生活困窮者自立支援法の成立に伴い制度化された学習支援事業ではあるが、生活保護制度との連動、現場におけるソーシャルワーク実践の意義を推進していくには課題が多いということを調査に基づき明らかにし、報告会を開催し、行政、事業者、ボランティア関係者と共有を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
京都市との調査協定を結ぶことにより、京都市での学習支援事業悉皆調査を実施することが可能となった。研究成果についても行政と共有を行い、報告書を作成し他の政令指定都市において同様に学習支援事業を実施している実践者・研究者と研究成果を共有することができた。 ただし、京都市における「子どもの貧困」にかかる大規模な実態調査が28年度に実施されたタイミングに連動する形で、学習支援実践現場からのボトムアップとしての実態調査として本調査を位置づけたために、質的に深めて行く作業に遅れが生じている。29年度の前半にまずは質的調査を実施し、さらに全国調査に規模を拡大させていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度の前半には、まず京都市での量的調査を論文および学会口頭発表でアウトプットを実施する。また、29年度後半に実施する、生活困窮者自立支援制度における総合相談窓口事業と、学習支援事業との連動の実態を明らかにする量的調査を実施するために、質問項目の精査を実践者研究メンバーとともに推進していく。 最終年度のまとめとして、全国量的調査の報告書出版、およびシンポジウムの開催を計画している。
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Causes of Carryover |
近畿圏での調査実施までは年度内に完了したが、調査報告書の印刷製本を次年度に繰り越したため、次年度使用額が発生している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度に当たり、まずは近畿圏での調査結果を学会発表、冊子印刷配布等で年度半ばで公表を行い、引き続き、全国調査の実施にあたり調査実施費用を計上していく。
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Research Products
(6 results)
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[Book] 地域福祉論2017
Author(s)
川島ゆり子・永田祐・榊原美樹・川本健太郎
Total Pages
296
Publisher
ミネルヴァ書房
ISBN
462308003X
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