2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study of Representation and Realization of Needs on Social Welfare for Fetal Minamata Disease Patients from their Genuine Perspectives
Project/Area Number |
15K04011
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
田尻 雅美 熊本学園大学, 水俣学研究センター, 研究員 (70421336)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 社会福祉学 / 水俣学 / 障害学 / 水俣病 / 胎児性水俣病 / 小児性水俣病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は胎児性・小児性水俣病患者(以下、胎児性患者)の「不十分」な生活保障と被害補償をめぐって、当事者ならびに家族に焦点を当てた研究で、当事者の生の視点(水俣病被害の当事者およびサービス利用の当事者の視点)から、あらためて社会福祉的課題をとらえなおし、「不十分」に至った過程と今後の展望を明らかにし、他の公害・環境問題に教訓として提示したいと考えるものである。 当事者の生の声を通して、胎児性患者のかかえる生きづらさの意味を解明し、生きやすさを実現するための新たな発想や具体的な手立てを考えるために、2017年度に行った在宅生活を送る胎児性患者の介護現場の参与観察で得たニーズの把握から、2018年度には支援方針の策定を試み、本年度は、その支援方針に基づき、患者家族及び施設での本人が望む介護や外出支援などについてのニーズの把握を継続して行った。在宅生活者について、同居家族の入院や死亡などによるニーズの変化があり、ニーズをとらえなおす必要が生じている。 これまでの研究で得られた成果は、2019年5月にインドネシアにおいて行われた“Japan-ASEAN Medical Seminar on Human Health Impact of Heavy Metals”において“Staying Close to the Minamata Disease Patients”と題して報告した(第1回:ゴロンタロ大学、第2回:ハサヌディン大学、総合地球環境学研究所からの招待講演)。また、2019年12月23日の私立大学戦略的研究基盤形成支援事業成果報告シンポジウム「水俣病の現在と水俣学の創造」において“健康・医療・福祉相談から見える水俣病被害の実態と施策の課題 ― 被害者が求めるもの”を報告し、障害や社会において困難を抱える人々の日常生活を送るために必要な支援について意見交換を行うことができた。
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