2016 Fiscal Year Research-status Report
評価することで「元気がでる」学生相談活動の新しい自己評価法の開発
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15K04131
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福盛 英明 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (40304844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内野 悌司 広島大学, 保健管理センター, 准教授 (00294603)
山中 淑江 立教大学, 現代心理学部, カウンセラー (10267388)
松下 智子 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (40618071)
大島 啓利 広島修道大学, 学生相談室, カウンセラー (90617317)
池田 忠義 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (70333763)
高野 明 東京大学, 学生相談ネットワーク本部, 准教授 (50400445)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 学生相談プログラム / 自己評価 / 元気がでる / エンパワメント・エバリュエーション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、「学生相談機関の充実イメージ表」と並ぶ平成27年度に完成させた「学生相談プログラム充実イメージ表」の開発と自己評価方法の開発を行った。平成27年度、カナダで行われたACPA学会においてCASに関するプログラムのプレセンテーション(福盛ら,2016)によって、CASが前提としている学生の学習の成長・成果のモデルが日本の学生の成長の合致するのか、また、わが国に導入するにあたり、評価することやされることに恐れや、評価することそのものが目的化することにより、十分なアクションプランの作成に結びつかないことがあることが示唆された。そこで、(1)「学生相談プログラム充実イメージモデル表」の開発と同時に、(2)エンパワメントエバリュエーションの手法(Fetterman,2001)を用いて、自己評価活動行い、質的・量的なデータを収集することとした。(1)においては、CAS分類がわが国に適用できるかどうかを明らかにするために、平成25年~平成27年の日本学生相談学会大会論文集を元に実践事例を収集された26プログラムについて、対象、プログラムのねらい、活動の実際,プログラム実施者・学生の視点からみた成果等一覧表にまとめた。KJ法を援用し、発表者のうちの4名がCASの16の学習成果領域の下位分類78項目をカード化し、似たカード同士に見出しをつけてグループ化し、グループ同士の関係を図解化することで分類を行った。この分類軸を「学生相談プログラム充実イメージモデル表」プロトタイプに導入した(成果は研究代表者の福盛が5月の日本学生相談学会大会で発表する予定)。また、(2)については、2つの大学に協力してもらい、Fetterman(2001)のエンパワメントエバリュエーションの手法によるプログラム評価を行った。本研究の成果は、研究分担者の内野らが日本学生相談学会大会で成果発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度、カナダで行われたACPA学会においてCAS研修によって、CASが前提としている学生の学習の成長・成果のモデルが日本の学生の成長の合致するのか、また、わが国に導入するにあたり、評価することやされることに恐れや、評価することそのものが目的化することにより、十分なアクションプランの作成に結びつかないことがあることが示唆されたため、自己評価手法そのものについても検討する必要が生じた。また同様に、「学生相談プログラム充実イメージモデル表」プロトタイプについてもわが国の自己評価に適合させるためには分類軸の見直しが必要であることがわかった。そこで「学生相談プログラム充実イメージ表」のプロトタイプにプログラムのカテゴリを分類する軸を再検討する軸を見直すことになった。その結果、KJ法を援用し、あらたな分類軸の模索に関する研究を進行させ(平成29年度日本学生相談学会で発表予定)、プロトタイプを改良する必要が出てきている。その意味では当初の計画からは、遅れているようにも見えるが、Fettermanのエンパワメント・エバリュエーション手法など、新しい手法を用いることで解決することも考えており、実際に2大学にアクションリサーチを既に行うことができた。これらの結果を分析することで、来年度の計画には間に合わせることができるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、本研究課題は最終年度となる。「学生相談プログラム充実イメージモデル表」についてプロトタイプから、実際に記入できる分類軸を実装した配布版を作成し、「学生相談プログラム充実イメージモデル表」と従来からある「学生相談機関充実イメージモデル表」を「学生相談活動充実イメージ アセスメントパッケージ」に統合する。多くの大学の自己評価に活用しやすいように、具体的な方法について説明し、評価による効果が最大限にできるような仮の「評価の手引き」と「ワークシート」を作成する。これらを用いて、数大学を対象にアクションリサーチを進めて、自己評価方法そのものの改良の知見を得る。また、「学生相談活動充実イメージアセスメントパッケージ」による自己評価の効果を調査で明らかにし、従来自己評価に用いられているような客観的指標との関連を調べる。現在は、電子上で記入できるワークシートを開発する予定である。数大学に実際に自己評価に取り組んでもらい、このツールを使うこと によって、(1)簡便であったか(実施時間)(2)現状を可視化でき把握できたか、(3)未来展望の明確化に寄与したか(4)自己評価者が「元気が出たか」(結果として自分達の活動を肯定的にとらえて発展・未来志向で組織見直しを捉えることができたか)の主観的効果、などについて評定してもらう予定である。上記の2つのリサーチの結果から、最終版の「評価の手引き」と「ワークシート」を完成させる。
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Causes of Carryover |
予定をしていた研究分担者の研究打ち合わせ会の旅費支出が、パックなどを利用して出張があったため、少し少なくてすんだ。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は研究代表者の成果発表(国内)のための旅費として使用を予定している。
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Research Products
(1 results)