2017 Fiscal Year Annual Research Report
Research and Development of a Support Program uniting Foster Care and Biological Parents
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15K04132
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
松崎 佳子 広島国際大学, 心理科学研究科, 教授 (30404049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大場 信恵 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (00403931)
入濱 直美 西南学院大学, 公私立大学の部局等, カウンセラー (20728448)
増田 健太郎 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (70389229)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 里親支援 / 実親 / 児童相談所 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、里親養育委託における子どもの実親との交流や支援がどのように行われているか、現状と課題について委託行政機関である児童相談所と受託者である里親それぞれへの調査を行うとともに、実親との交流を有する里親へのインタビュー調査を行った。その結果以下のまとめと課題が示された。①里親支援業務に関わる人員のほとんどは児童福祉司であるが、里親業務に専任で取り組める児童相談所は、全体の50%を切っている。里親委託された児童のうち、実親交流のある児童は19.2%であり、非常に少ない。②実親との交流は、その機会を定期的に予定し、外泊を取り入れ、予定された交流が確実に実現し、子どもの家庭復帰の予定がなくとも子どもの最善の利益を目的として行われる時成果を期待できると言える。③子どもと実親の親子関係再構築を目標とする際に、里親委託された子どもに起こる真実告知やルーツ探し、忠誠葛藤、遺伝的対象としての実親等についての理解が重要であるが、里親と実親双方にこれらを伝えるのは52.4%であり、里親に伝えるは35.3%、実親に伝えるは4.0%で最下位であることから、実親に対する養育者としての信頼が十分でないことが伺われた。これは委託重視で親子関係再構築までを見通していない現状を物語っているとも言えよう。④交流において、児相の介入があると、里親は安心して実親にアプローチし、実親家庭の生活改善を図ることができ、子どもの外泊交流への抵抗が軽減していることも認められた。 里親委託された子どもの8割が実親との交流がないことは、子どもの権利条約の理念、平成28年度の改正児童福祉法の理念から考えても、今後検討していく大きな課題であると思われる。児童相談所の職員体制や専門性の強化とともに、中立的な支援機関として、包括的な里親支援機関が必要である。 本研究の成果として報告書を作成し、全国児童相談所等関係機関に配付した。
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Research Products
(3 results)