2015 Fiscal Year Research-status Report
感情のコントロールに困難を抱えた若者に対する認知行動的グループ療法の効果研究
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15K04143
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
寺島 瞳 和洋女子大学, 人文社会科学系, 准教授 (30455414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤里 紘子 関東短期大学, 子ども学科, 講師 (50610333)
大久保 智紗 筑波大学, 学生生活支援室, 助教 (70637082)
伊里 綾子 立正大学, 心理学部, 講師 (20712897)
山田 圭介 つくば国際大学, 産業社会学部, 助教 (40642921)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | STEPPS / 境界性パーソナリティ障害 / 集団認知行動療法 / 感情調節 / 効果研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,感情のコントロールに困難を抱えた若者に対して「感情を予測する力と問題解決力のためのシステムズトレーニング(以下STEPPS)」を実施し,その効果を検証することを目的としている。STEPPSとはもともとは境界性パーソナリティ障害(BPD)を対象としたグループ療法であるが,感情のコントロールに困難を抱えた人すべてに有効であることが示されている。 今年度は,感情のコントロールが苦手な大学生を対象にして,まずは対照群をおかない単群でのSTEPPSの効果を検証した。大学生13名(女性9名,男性4名)を対象に全20回のSTEPPSを実施した。途中で生活状況の変化によって継続参加が困難という理由で3名がドロップアウトし,最終的には10名がグループを終了した。グループ実施前,感情にアプローチする前半12回の終了後,全20回を終えた時点でQuEST-J,PANAS(川人ら,2011)を実施した。その結果,実施前と20回終了後の間でQuEST-Jの思考や感情の不安定性に関する得点が低下し,PANASのポジティブ感情が増加した。よって,STEPPSは特に思考と感情の不安定性を改善し,ポジティブ感情の増加を促すことが明らかとなった。以上から,感情のコントロールに困難を抱える大学生にSTEPPSは有効であることが示された。 また,STEPPS内で用いられるQuEST日本語版(QuEST-J)の信頼性・妥当性を検討した結果について認知・行動療法学会にて発表した。QuESTとはBPDの診断基準は満たさないが感情調整に問題を抱える人のBPD様症状を測定する尺度であり,一定の信頼性と妥当性を有した尺度であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたJ-QuESTの日本版の作成および大学生へのSTEPPSの実施および単群での効果検証という本年度の目的は達成できたため,当初の計画通りにおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,ドロップアウト要因をもとに,よりドロップアウトの少ない形にマニュアルを改良する。また,開発者のBlumを日本へ招聘して,STEPPSのワークショップを行う。受講者は病院や高校で働く臨床心理士とし,希望者には平成29年度のランダム化比較試験におけるファシリテーターを要請する。
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Causes of Carryover |
スーパービジョン代への使用を予定していたが,支払い請求が年度をまたいで執行できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残金はスーパービジョン代に使用する。
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Research Products
(5 results)