2016 Fiscal Year Research-status Report
近代沖縄におけることばの教育に関する実証的研究-音楽教師・宮良長包に着目して
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15K04205
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 健一郎 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (80291582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三島 わかな 沖縄県立芸術大学, 附属研究所, 研究員 (60622579)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 普通語ノ励行方法答申書 / 方言札 / ことば / 教育史 / 宮良長包 / 音楽史 / 近代沖縄 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、大きく以下の3点にわたり、調査・研究を行なった。 1 沖縄県が1915年に沖縄教育会へ諮問した「普通語励行ノ方法如何」と沖縄教育会による「普通語ノ励行方法答申書」を中心にすえて、1910年代の沖縄におけることばの教育の施策と実態に関する論文を発表し、以下のことを明らかにした。①沖縄県は沖縄教育会に諮問をしたのみならず、それ以前に郡区視学会議、学校長会議、郡区長会議において、それぞれの職務に応じた普通語励行に関する訓示等を行なっていた。②沖縄教育会の答申書は、沖縄の人々が普通語で話すことを「冷笑」し不自然に感じているなかで、普通語で話す「気分」を涵養することを必要なこととし、普通語で話すようにするための具体的な方策を41項目にわたり列挙した。それらの方法は体系性をもたなかったがゆえに、かえって日常的な「根気」が強調されることとなった。③沖縄県内務部は、教育会の答申書を受け、答申内容を取捨選択して、郡区長島司に通牒を発し、町村吏員、学校教員にその実行を指示した。そうしたなかで、沖縄県師範学校ならびに同附属小学校が中心になって、普通語励行に関する研究と実践を継続していった。④1910年代半ばには、方言札が全県的に広がっていったが、その際、県庁、教育会、教員、子どもたち、そして住民のいずれにおいても、とまどいながら普通語励行が展開していたことを指摘した。
2 方言札を中心にすえて、近代沖縄におけることばの教育史を通史的に論じた。発表した際の原稿を基にして、2017年度に論考として発表する予定である。
3 宮良長包が作曲した《献穀田田植唄》を沖縄県内で「継承」している地域があることをふまえて、他府県での同種の作曲を調査した。2017年度にも継続して調査の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「普通語ノ励行方法答申書」を中心にすえた論文を発表できたこと。 近代沖縄におけることばの教育史について、通史的に論じる機会を得、その内容を公表できる見込みが立っていること。 宮良長包による作曲の政治的状況と曲の現代における「継承」について、他府県の史料調査も含めて、2017年度の調査研究の見通しが立っていること。
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Strategy for Future Research Activity |
特に大きな変更をすることなく、近藤と三島による共同調査、研究を継続する予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた海外調査が年度をまたいで実施したため、2017年度の支出となったこと。また史料調査の必要から旅費を確保するために、とくに物品費を抑制しすぎたこと。これらのために、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額においては、海外調査費と、図書費ならびに映像処理のためのパソコン周辺機器費用として、使用する予定である。
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Research Products
(3 results)